【試合結果Webニュースまとめ(3○2(5PK4))】2024/4/24(水)19:00KO AFCチャンピオンズリーグ2023/24 準決勝 第2戦 横浜F・マリノスvs.蔚山現代(ウルサン ヒョンデ)@横浜国際総合競技場


【試合結果Webニュースまとめ(3○2(5PK4))】2024/4/23(水)19:00KO AFCチャンピオンズリーグ2023/24 準決勝 第2戦 横浜F・マリノスvs.蔚山現代(ウルサン ヒョンデ)@横浜国際総合競技場
 
 

アンカー(目次)

1.横浜F・マリノスオフィシャルサイト
2.Jリーグ.jp
3.X(旧Twitter) / Instagram
4.ハイライト動画
5.Webニュースログ
6.今週の他会場など

横浜F・マリノス オフィシャルサイト

ACL 準決勝 第2戦 横浜F・マリノス vs 蔚山現代 試合レポート | 横浜F・マリノス 公式サイト
 
 

Jリーグ.jp

【公式】横浜FMvs蔚山の試合結果・データ(AFCチャンピオンズリーグ:2024年4月24日):Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)
 └ 入場者数 16,098人

監督コメント

[ ハリー キューウェル監督 ]

何から話そうかとは思いますが、自分がこのチームに来たときにはすでにチームはグループステージを突破し、ノックアウトステージから指揮を執ることが決まっていました。準備期間をそこまで長く取れない中、選手たちはやろうとするサッカーにアジャストしてくれたと思います。自分のACLはラウンド16のタイで始まりましたが、今日までラクな試合は1つもなく、常にすべてを出し切ってくれました。

今日も(失点した)36分までは今日までやってきたサッカーを表現してくれました。さまざまな攻撃パターンを使って試合を支配したとも思います。蔚山にも効果的な攻撃をさせませんでした。1失点し、2失点し、カオスな状況となりましたが、1人少ない状況で長い時間を戦い、素晴らしい結果を残してくれました。チーム一丸となり、最後の最後までやり遂げました。もちろん運もありましたが、チャンスを作り、一人ひとりからこの試合に懸ける思いも伝わりました。だから、私は全員に感謝の気持ちでいっぱいです。そして、決勝に進めたことについて、「おめでとう」と言いたいです。

--上島 拓巳選手が退場になって以降の前半、後半、延長戦とシステムを変えましたが、どのような考えだったのでしょうか。
正直、退場はプランにありませんでした。予想できなかったことが起きた中、重要なことは柔軟性です。相手はオーバーラップをしてサイドを使い、クロスを上げてフィニッシュまでもっていったり、中央につけてそこからシュートを狙ってきたりしました。

それでも10人で戦う時間が長い中、前に(アンデルソン)ロペスを残せば、チャンスが来るのではないかと信じていました。オープンな展開が続き、相手はテンポも素晴らしく、どんどん攻めて多くのチャンスがありましたし、自分たちに運もあったとは思います。ただ、そういうときこそ基本に立ち返り、守備が重要な要素です。一人ひとりがよくやってくれました。

変更を加える場合、複雑なことを言ってしまうと、混乱を招いてしまいます。自分はシンプルに伝え、選手たちは柔軟性を持って対応してくれたからこそ、あそこまで戦えたのだと思います。

選手コメント

永戸 勝也

--ジェットコースターのようでもあり、非常にエモーショナルな試合になりました。
3-0になり、試合をコントロールする力という点では反省はありますが、退場は仕方ありません。僕も助けてもらった側です。僕自身はやれる限り、やろうと思ってプレーしました。後半は特にサイドで人数をかけられましたが、なんとか耐えつつという感じでした。

--数的不利後は、質の高い相手に守れたところに手ごたえを感じているのではないでしょうか?
僕だけではなく、(榊原)彗悟、(山根)陸、(加藤)蓮もだし、最後(宮市)亮くんも頑張ってくれました。動かし、動き守った形になりました。ワンチャンスあると思っていました。(オフサイドになったヤン)マテウスのシーンや(水沼)宏太くんのシーンは惜しかったです。

--決勝は西アジアのアルアイン(UAE)が相手になります。
いまは楽しみな気持ちしかありません。まさか自分がそのような舞台に立てるとは思っていませんでした。5月の決勝も意外と早く来ると思います。もうやるしかありません。まずはホームで勝つために競争もある中、リーグ戦をこなしつつ良い準備をしたいです。

松原 健

まず両足を同時につったのは初めての経験です(笑)。10人になって1人が1.5人ぶん以上の動きをしないといけない中、オフサイドに助けられた面もありますが、全員がそれをやってくれたから最後の最後、点を決められませんでした。そこはチーム全員に感謝したいです。

--ファン・サポーターが素晴らしい雰囲気を作ってくれました。
アウェイでの1stレグで負けてしまいましたが、2ndレグはホームアドバンテージがあると思っていました。水曜日の土砂降りの中、16,000人以上も集まってくれました。それだけでも盛り上がるのに、10人で攻め込むことは簡単ではないのですが、僕たちのチャンスでいつも以上に盛り上げてくれました。それは間違いなく力になりましたし、最後、失点を防いだときはいつも以上にすごい声援を感じました。

--キャプテンマークを巻いてこの重要な試合を制しました。
誰が巻いても同じだとは思います。ただ、巻くことによって一層の責任感が出るのはあります。(いつもキャプテンマークを巻く)キー坊(喜田 拓也)の振る舞いは意識しています。彼が普段からチームメートを気にしているように、今日、(アンデルソン)ロペスが倒れていたのに、誰かが行かないとかわいそうです。ロペスはリーグ戦も出ずっぱりの選手の1人です。もちろん誰が倒れていても同じですが、ねぎらう気持ちも少なからずありました。

--アジアのファイナルへの気持ちを聞かせてください。
クラブとしてカップ戦の決勝の舞台は18年のルヴァンカップ以来だと思います。またアジアの大会は国内の決勝と雰囲気が異なるはずです。アジア独特の雰囲気を楽しみながら自分たちのサッカーを出せればいいですね。熱い戦いになるはずです。

 

植中 朝日

自分のゴールもうれしいですが、それよりもチームが勝ったことがうれしいです。120分間とPK戦を必死に頑張ってくれたチームメートに感謝したいです。

--ご自身の2つのゴールシーンを振り返ってください。
1点目は相手DFのもたつきがありました。自分はFWなので常に2列目からの飛び出しを狙っていますし、ラッキーでした。2点目はナム(テヒ)さんがフリックでつないでくれて、相手を背負っているのも分かった上でターンできると思い、ターンしたときには打つと決めました。シュートは出来過ぎです(笑)。置く位置は完璧ではありませんでしたが、ニアに巻ける感じでした。あのようなシュートはあまり打ったことはありませんが、とりあえず入って良かったです。僕のあんなゴールはもう見られないかもしれません(笑)。

--大舞台での2ゴールは自信になったのではないでしょうか?
ACL初ゴールでした。ずっとゴールを取りたいと思っていた中、本当に良いチームを相手に、韓国代表のGKからゴールを取れたのは自信につながりました。リーグ戦も中2日でやってきます。またそこでも決められるよう、まずは回復に努めます。

--あと2試合、大きな舞台が待っています。
監督は「準決勝が一番難しい」と言っていました。先ほどのミーティングでは「決勝は楽しもう」と言われ、そのとおりだと感じています。自分もワクワクしているので、楽しみながらプレーしたいですね。

 
 

X(旧Twitter) / Instagram


 


 


 
 


 


 


 
 


 
 


 


 
 

ハイライト動画


【横浜F・マリノス×蔚山現代|ハイライト】横浜FMがPK戦の末に”雨中の死闘”制し、クラブ史上初の決勝進出!|AFCチャンピオンズリーグ23/24 準決勝 2ndレグ – YouTube
 

PK戦の末、ACL決勝進出決定!|勝利後の舞台裏 – YouTube
 

【ピッチサイドVLOG】F・マリノスサポーター必見!ACLファイナルの座をかけた“雨中決戦”の舞台裏をピッチサイドから徹底収録!!|AFCチャンピオンズリーグ2023/24|DAZN NEWS TV – YouTube
 
 

ネットニュース・Weblog

スポーツニッポン

横浜 やったぞ!クラブ初のACL決勝進出! 2戦合計3―3の死闘PK戦でGKポープが気迫のストップ― スポニチ Sponichi Annex サッカー

 準決勝が行われ、日本勢で唯一4強入りした横浜はホームで蔚山(韓国)との第2戦に臨んだ。この試合を3―2、2戦合計3―3とし、延長戦へ突入。しかし、そこでも決着はつかず、PK戦の結果5―4で相手を振り切ってクラブ史上初の決勝進出を果たした。決勝ではアル・アイン(UAE)と対戦する。

 横浜は前半13分、右サイドの展開からゴール前のこぼれ球にMF植中が反応し、右足でネットを揺らして先制に成功。21分にはFWアンデルソン・ロペスがペナルティーアーク付近から左足を振り抜き追加点を挙げた。さらに、30分には植中が右足ミドルシュートを突き刺してリードを広げた。

 しかし、前半36分に右CKから失点。39分にDF上島が相手の決定機を阻止したとして一発退場。さらにこの際にハンドの反則を犯したとしてPKを与え、これを沈められた。

 後半、延長戦は防戦一方の展開が続いたが、GKポープ・ウィリアムら守備陣を中心に耐え抜いた。
 
 蔚山先攻で始まったPK戦では、互いに4人目まで成功。蔚山の5人目・金民友が右下を狙ったシュートをポープ・ウィリアムが気迫のストップ。横浜は5人目のDFエドゥアルドが冷静に成功し、PK5―4で蔚山を振り切った。

 殊勲のPKストップを見せたポープはフラッシュインタビューに応じ、「体はけっこうぎりぎりだった。駆け引きでなく自分を信じて、決めた方向に思い切り飛ぼうと。それだけですね」とPK戦を振り返った。クラブにとって悲願のACLタイトルまで後1勝。「ここまで来たらマリノスがこれまで取っていないタイトルを、このクラブのために自分自身も力を発揮できるようにいい準備したい」と力を込めた。試合中には足をつる様子を見せており、「(足)ヤバいです」と苦笑いだった。

 
横浜GKポープが殊勲のPKストップ シュート40本浴びるも神セーブ連発でクラブ初のACL決勝― スポニチ Sponichi Annex サッカー

 準決勝が行われ、日本勢で唯一4強入りした横浜はホームで蔚山(韓国)との第2戦に臨んだ。この試合を3―2、2戦合計3―3とし、延長戦へ。しかし、そこでも決着はつかずPK戦に突入。GKポープ・ウィリアム(29)が気迫のPKストップを見せるなどPK5―4で相手を振り切り、クラブ史上初の決勝進出を果たした。決勝ではアル・アイン(UAE)と対戦する。

 両者一歩も譲らないまま迎えたPK戦。互いに4人目まで成功し、迎えた先攻・蔚山の5人目。右下を狙ったキックをポープが完璧に読み切り、横っ飛びで防いだ。横浜の5人目のDFエドゥアルドは冷静に決め、クラブ初の決勝進出の立役者となった守護神は「ほっとしています」と胸をなで下ろし、「体はけっこうギリギリだった。駆け引きでなく自分を信じて、決めた方向に思い切り飛ぼうと。それだけですね」と神セーブを振り返った。 
 
 前半はMF植中の2得点、エースFWアンデルソン・ロペスの得点で3点をリードしたが、39分にはDF上島が一発退場。数的不利を強いられた後半と延長戦はほぼ防戦一方だった。120分間に40本ものシュート(枠内15本)を浴びたが、冷静に対処した。「自分のところであれ以上失点しないことは意識していた。チームのみんなもハードワークして、マリノスファミリー全員でつかみ取った勝利」とうなずいた。

 5月11日にはホームで決勝第1戦が行われる。「このクラブのために自分自身も力を発揮できるように、いい準備したい」と言葉に力を込めた。

 
ACL初決勝決めた横浜・植中 カタールに勇気を届ける2発! 「自分の価値を高められるチャンス」― スポニチ Sponichi Annex サッカー

 横浜のMF植中朝日(22)が、カタールに勇気を届ける2発を決めた。24日の蔚山(韓国)とのACL準決勝第2戦で先発。大会初得点を含む2発でチームの勝利に貢献した。 1点目は0―0の前半13分、ゴール前の混戦からボールを奪い右足でネットを揺らすと、圧巻は2―0の同30分だ。MF南泰煕(ナムテヒ、32)の縦パスをもらい素早い反転で前を向き、最後は右足を振り抜いてゴールネットに突き刺した。

 その後に2失点を喫し、DF上島が退場になったことで延長戦を含む残りの約80分近くで10人の戦いを強いられたが、PK戦を制して決勝進出。植中は「自分のゴールももちろんうれしいけど、チームが勝ったことがそれよりうれしい。120間とPK戦を必死に頑張ってくれたチームメートに感謝したい」と喜んだ。

 パリ五輪予選を兼ねたU―23アジア杯に参戦中のU―23日本代表メンバーからは外れたが、チームメートとは今も頻繁に連絡を取っているという。0―1で敗れた22日の韓国戦もチェック。「日本のチームは韓国に2回負けるわけにはいかないので、代表とクラブという違いはありますけど、自分も代表の選手たちに負けられないので、きょうは結果を出せて良かったと思います」と振り返った。

 クラブ史上初の決勝進出。悲願のアジア制覇へまた一歩進んだ。キューウェル監督から前日会見後に指令されたハットトリックは果たせなかったが、5月11日にホームで、同25日にアウェーで対戦するアルアイン(UAE)との決勝へ、背番号14は「自分の価値を高められるチャンス。決勝でもゴールを決めて、アジア中に自分の名前を広めたい」と意気込みを語った。

 
横浜 激闘PK戦制し初のACL決勝進出!GKポープが神セーブに歓喜「全員でつかみ取った勝利」― スポニチ Sponichi Annex サッカー

 サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第2戦が行われ、日本勢で唯一、クラブとしては初めて4強入りした横浜F・マリノスが決勝進出を決めた。敵地での第1戦は0―1。ホームで前半30分までにMF植中朝日(22)の2得点などで3点のリードを奪ったが、その後に2失点。2戦合計3―3で突入した延長戦でも決着がつかず、PK戦を5―4で制した。決勝はアルアイン(UAE)と5月11日にホームで、同25日にアウェーで対戦する。

 耐えて、耐え抜いて、激闘を制してまたクラブ史を塗り替えた。120分間で40本のシュートを打たれながら、2失点に抑え、さらにPK戦でも相手の5人目をストップした殊勲のGKポープは「体がギリギリだった。自分を信じて決めた方向に思い切って飛んだ」と胸を張った。

 チームは大一番を控えた中、クラブは重大な“お家騒動”に揺れていた。強化を兼務する中山昭宏社長(56)が昨年末から、今月15日に浦和のTDを退任した西野努氏と極秘裏に交渉を行っていたことが最近になって発覚。提携するシティ・グループを含め各所へのコンセンサスを得られていないことで、大きな混乱と反発と招いた。

 それでもチームは一丸となって戦った。U―23アジア杯に出場中のU―23日本代表メンバーから落選したMF植中は、カタールに勇気を届ける2発。前半39分にDF上島が一発退場となり、残りの約80分を10人で戦ったが、トリコロール勇者たちが意地とプライドで逆境をはね返した。

 今季発足したキューウェル体制。現役時代は“オズの魔法使い”の異名を取った元スター選手で、強いカリスマ性を持つ。リバプール在籍時には、04~05年シーズンで欧州CL優勝経験。3点のビハインドからPK戦の末にACミランを破った一戦は、「インスタブールの奇跡」と呼ばれた。「諦めない姿勢が本当に目に焼き付いている」。トップダウン型の強い指導力で横浜にもその強いメンタリティーを注入している。

 「マリノスファミリー全員でつかみ取った勝利だと思います。ここまで来たら、マリノスがまだ獲ってないタイトルなので、このクラブのために本当に力を発揮できるように、ここから本当にもう1回いい準備したい」とポープ。悲願のアジア制覇へ、また大きく一歩前進した。

 
 

ニッカンスポーツ

【ACL】横浜死闘制し初の決勝進出!退場者出し10人で耐えた、蔚山との延長、PK戦乗り切った – ACL : 日刊スポーツ

横浜F・マリノスが、生きるか死ぬかの死闘を制した。ホームで蔚山現代(韓国)に延長を終えて3-2。2戦合計3-3と決着がつかず、PK戦の末に勝利した。

前半39分に決定機阻止でDF上島拓巳が退場処分となる不運に見舞われたが、雨中の激闘を制した。決勝(5月11日ホーム、26日アウェー)ではアルアイン(UAE)と対戦する。

開始から横浜が攻勢をかけた。前半13分、早々に先制した。FWヤン・マテウスが中央へパスを送ると、FWアンデルソン・ロペスがスルー。MFナム・テヒの足元に渡ったボールがゴール前にこぼれた。すかさずMF植中朝日が拾い、右足でゴールを奪った。

続けて前半21分、ヤン・マテウス、エウベルが細かくパスをつなぎ、A・ロペスへ。これをエースが左足で正確にゴール右隅に蹴り込み、2-0。2戦合計でも2-1と勝ち越しに成功した。

さらに後半30分、植中が豪快なゴールを奪った。MFナム・テヒのパスを受けた植中が巧みなターンで前を向き、エリア手前から右足を振り抜く。これがゴール右に決まった。植中の2得点で3-0、完全な横浜ペースとなった。

しかしKリーグ2連覇中の蔚山現代の反撃に遭う。前半36分、右CKからMFマテウスに頭で合わせられ1点を返される。そして思わぬ事態に起きた。同39分、相手のドリブル突破を止めようとしたDF上島拓巳がスライディング。切り返したボールが手に当たり、決定機阻止でハンドの反則を取られた。同時に一発レッドでの退場処分。数的不利となる中、このPKをMFボヤニッチに決められて3-2。2戦合計でも3-3の振り出しに戻った。

10人で戦う横浜は後半、エウベルを下げてDFエドゥアルドを投入。ナム・テヒに代わってMF山根陸もピッチに送った。

後半2分、さらに1点を奪われた。蔚山現代にゴール前まで押し込まれると、MFボヤニッチに右足でゴールを奪われた。しかしVARで、GKポープ・ウィリアムの前に立っていた選手がシュートセーブを制限したと判断。オフサイドの判定でノーゴールとなった。横浜はVARに救われた。

その後も数的不利の中、押し込まれる展開が続く。後半11分にはゴール前で突破を許し1対1となるピンチがあったが、ポープが相手シュートを体に当てて防いだ。

後半17分、2得点と大活躍の植中を下げてDF加藤蓮を投入。そして直後に横浜のゴールが決まった。

DF永戸勝也が左サイドからゴール前のファーポスト際にクロスを送ると、ヤン・マテウスが頭で押し込んだ。勝ち越し点にスタジアムは歓喜の声が上がったが、VARでヤン・マテウスの飛び出しが早くオフサイドと判定。ノーゴールとなった。

そして勝負が決まる次の1点に向け、横浜は動いた。後半36分、ヤン・マテウスに代えてスピードスターFW宮市亮、MF榊原彗悟から決定的な仕事ができるMF水沼宏太を送った。

後半43分、ニアサイドで合わせた相手のシュートが左ポストを叩いた。押し込まれる展開が続くが、サポーターの力強い歌声に励まされ懸命に耐えた。アデショナルタイムは7分。ゴール前にクギ付けにされる。防戦一方。ひたすらクリアする。両チーム決定打がなく延長戦に突入した。

延長戦も自陣に引き込み、カウンターのチャンスをうかがう。押し込まれる中で冷静に対応。むやみに仕掛けず、セーフティーに戦い時間を進めた。前半終了間際に最後の交代カードとして永戸を下げてMF天野純をピッチに送った。

ともに運動量が落ちた後半3分、カウンターから水沼がシュート。ニアサイドを突いたがGKの好セーブに遭いCKへ。CKを起点に右サイドからクロスボールが入る。ゴール前で宮市が懸命に左足から飛び込んだが、つま先にわずかに当たりゴール外へ転がった。

延長後半9分には蔚山現代に決定的なシュートを打たれるが、GKポープが指先でスーパーセーブ。ボールは左ポストに当たって外に出た。そのCKからシュートを放たれ、さらにこぼれ球を押し込まれたが、これもオフサイドでノーゴール。崖っぷちに立たされた状況で必死に耐えた。続けて同14分にもCKから決定的なシュートを打たれたが、これもゴール右へわずかに外れた。

延長後半アディショナルタイム。右サイドからA・ロペスが速いクロスを入れ、ファーサイドで宮市が狙ったがボールに届かず。死力を尽くした一戦はPK戦に持ち込まれた。

そしてPK戦。横浜はGKポープが集中力を研ぎ澄まし、スーパーセーブを連発。ACL史上に残る激闘を制した。

 
【ACL】横浜、死闘制し初の決勝進出 守護神ポープ「マリノスファミリーでつかみ取った勝利」 – ACL : 日刊スポーツ

横浜が生きるか死ぬかの死闘を制し、初の決勝に進出した。ホームに蔚山(韓国)を迎え延長を終えて3-2。2戦合計3-3からのPK戦に5-4と勝利した。前半39分にDF上島拓巳が退場となる不運に見舞われたが、10人になりながらも驚異的な粘りでKリーグ2連覇中の強豪を退けた。決勝(5月11日ホーム、25日アウェー)ではアルアイン(UAE)と対戦する。

ACL史上に残る死闘を制した。120分を戦い抜いた。2戦合計3-3。勝負の行方はPK戦に委ねられた。4人目まで両者譲らず。そして5人目、GKポープが立ちはだかった。左に跳んでシュートをセーブ。そして後攻の横浜はエドゥアルドが決めた。雨中の大激戦に終止符を打った。

殊勲の守護神は「みんながハードワークをしてくれた。これ以上失点しないようにと。(PKは)自分を信じて決めた方向に思い切り跳ぼうと思った」。120分通じて被シュートは40本を数えた。枠内には15本も飛んできたが次々とセーブ。雨の中で歌い続けたサポーターに感謝し「マリノスファミリーでつかみ取った勝利です」と喜んだ。

耐えに耐えた。前半に上島がスライディングした際、相手がドリブルで切り返したボールが手に当たった。不運の退場。しかしここからが勝負師が率いる横浜の真骨頂だ。キューウェル監督自身、リバプール時代の04-05年に欧州チャンピオンズリーグを制している。ACミランとの決勝では前半だけで3失点したが、チームは驚異的な粘りを見せて後半に3点を奪い返した。さらに満身創痍(そうい)の中で延長、PK戦を戦い抜いて勝利。名勝負として今も語られる「イスタンブールの奇跡」を知る。

一念岩をも通す-。そこで教訓を得た。「多くの方が自分たちに目を向けることもなかった。その中であきらめないチームの姿勢は今も目に焼きついている。だからこそ“マジック”が起きた。どんな状況に立たされていても、信じてやることが大事なんだ」。指導者の今につながる、あきらめずに戦い抜く姿勢。この日も蔚山相手に実践した。

指揮官は「みんなが最後まで戦ってくれた。1人少ない中ですばらしい結果になった」。10人になっても掲げる「アタッキングフットボール」の看板は下げなかった。「相手よりも自分たちのサッカーを表現する。ボールを持ってゲームを支配することが大事だ」。現役時代に「オズの魔法使い」と呼ばれたファンタジスタに率いられ、マリノスのアジア航海は最終章へと突入した。【佐藤隆志】

 
【ACL】横浜MF植中朝日が逆転への流れ作る2得点「監督からハットトリックしろと」 – ACL : 日刊スポーツ

横浜F・マリノスが生きるか死ぬかの死闘を制し、初の決勝に進出した。ホームに蔚山(韓国)を迎え延長を終えて3-2。2戦合計3-3からのPK戦に5-4と勝利した。前半39分にDF上島拓巳が退場となる不運に見舞われたが、10人になりながらも驚異的な粘りでKリーグ2連覇中の強豪を退けた。決勝(5月11日ホーム、25日アウェー)ではアルアイン(UAE)と対戦する。

横浜MF植中朝日が前半に2得点を挙げ、逆転進出への流れを作った。アウェーを0-1と落とした中での第2戦。幸先良く13分にこぼれ球を拾い右足で先制点。30分にはMFナム・テヒのパスから巧みにターンし、エリア手前から豪快に右足を振り抜いた。「監督から昨日『ハットトリックしろ』と言われ、ゴールしてチームに貢献できて良かった」。チーム一体となってのファイナル切符に「優勝をつかみ取りたい」と意気揚々と話した。

 
【ACL】横浜が初の決勝進出!前半で退場出すも死闘の末にPK戦制す/蔚山戦詳細 – サッカーライブ速報 : 日刊スポーツ
 
 

サンケイスポーツ

J1横浜M、PK戦制した!! Jリーグ勢4クラブ目の決勝進出/ACL – サンスポ

初優勝を狙うJ1横浜Mが決勝に進出した。蔚山(韓国)との前後半を3―2で終え、2戦合計3―3で迎えた延長でも決着がつかず、PK戦を5―4で制した。17日に行われたアウェーの第1戦に0―1で敗れた横浜Mは、前半に3点を先行したが、その後、1点差に詰め寄られた。PK戦ではGKウィリアムポープ(29)が5人目のキックを止めた。5月11、25日の決勝ではアルアイン(アラブ首長国連邦)と顔を合わせる。

降り注ぐ激しい雨の中で先制弾が生まれた。前半13分、右サイドからペナルティーエリアに進入したMF植中が、右足を一閃。ゴール左隅へたたき込んだ。

「第1戦で自分たちのサッカーが通じることが分かった。いつもよりも積極的にシュートを打つ。勝利して決勝に進めるように頑張りたい」と前日会見で語っていた22歳。その言葉をプレーで体現した。

第1戦を0-1を落とし、引き分け以下で敗退が決まる横浜Mは、序盤から攻勢に出た。同21分にFWアンデルソンロペス、30分には植中が自身2点目の右足ミドルを決めた。それでも相手は大会2度Vを誇る強豪。前半に2点を返される接戦となった。

浦和、鹿島、G大阪に次ぐJリーグ勢4クラブ目の決勝進出。U―23(23歳以下)アジア杯に臨む日本代表は選外となった植中がクラブで結果を残した。(一色伸裕)

 
横浜M、クラブ史上初決勝進出!10人で耐えPK戦勝ち 5・11&25にアルアインと激突/ACL – サンスポ

初優勝を狙うJ1横浜Mが決勝に進出した。蔚山(韓国)との前後半を3―2で終え、2戦合計3―3で迎えた延長でも決着がつかず、PK戦を5―4で制した。17日に行われたアウェーの第1戦に0―1で敗れた横浜Mは、前半に3点を先行したが、その後、1点差に詰め寄られた。PK戦ではGKポープ・ウィリアム(29)が5人目のキックを止めた。5月11、25日の決勝ではアルアイン(アラブ首長国連邦)と顔を合わせる。

降り注ぐ雨の中、スタジアムが歓喜に包まれた。PK戦までもつれ込んだ準決勝第2戦。GKポープが相手5人目のシュートを止めた。

「本当にホッとしている。体がギリギリだったので、駆け引きとかなく、自分を信じて決めた方向に飛んだ」

クラブ史上初のACL決勝進出。仲間を鼓舞し続けた守護神は、120分の激闘を振り返った。

 
 

スポーツ報知

【ACL】10人の横浜FMが初の決勝進出、耐えてPK5―4で雨天の死闘を制す…準決勝・蔚山戦 – スポーツ報知

 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第2戦が24日、横浜国際競技場で行われ、横浜FMは蔚山(韓国)と延長戦で2戦合計3―3で決着が付かず、PK戦で5―4で、現行の大会では初の決勝進出を決めた。決勝はUAEのアルアイン(ACL優勝1度)と5月11日と25日に、ホームアンドアウェー方式で戦う。

 横浜FMは前半13分にFW植中朝日が先制ゴールで2戦合計で同点に追いついた。さらに同21分にFWアンデルソンロペスが2点目を決めると、同30分には植中がミドルシュートを決めるゴールラッシュで3―0とリードを広げた。

 ところが同35分、3度目のアジア制覇を狙う蔚山に右CKから1点を奪われると、一気に暗転した。同39分にはDF上島拓巳がペナルティーエリア内でハンドを犯したとして一発レッドカードを受けた。PKも決められて、2戦合計3―3に追いつかれ、残り時間を10人で戦うこととなった。

 横浜FMは後半、守りを固めてカウンターで反撃を狙い試合を進めた。後半18分にはDF永戸勝也の浮き球パスにFWヤンマテウスが頭で合わせたが、オフサイドの判定を受けてノーゴールとなった。

 試合は2戦合計3―3のまま90分で決着が付かず延長戦に突入。雨が降りしきる中で、途中出場のMF水沼宏太がアンデルソンロペスとのコンビネーションでゴールを狙った。蔚山に30本以上のシュートを浴びながら懸命に耐え、最後は5バックでしのぎ、PK戦に持ち込んだ。

 横浜FMは前身の日産自動車時代の1989―90年に、アジアクラブ選手権(当時)で決勝に進出したが、中国のクラブに敗れ準優勝に終わっている。

 
横浜FM植中朝日が2得点で決勝進出に貢献…キューウェル監督から「昨日はハットトリックしろと言われた」 – スポーツ報知

 横浜FMは蔚山(韓国)と延長戦で2戦合計3―3で決着が付かず、PK戦を5―4で制し、現行の大会では初の決勝進出を決めた。

 FW植中朝日が2得点で決勝進出に大きく貢献した。前半13分に先制ゴールで2戦合計で同点に追いついた。さらに同21分にFWアンデルソンロペスが2点目を決めると、同30分には植中がミドルシュートを決めるゴールラッシュで3―0とリードを広げた。その後2点を奪われ、10人出守り切りPK戦に持ち込んだ。

 植中は「ゴールは決めたのは嬉しいですが、他の選手が120分間プラスPKを頑張って勝ってくれたので、そこに感謝したいです」とチーム全体の勝利を強調した。

 自身の2点目はミドルシュートを高い技術で決めきった。「監督からも振っていけと常に言われていますし、昨日はハットトリックしろと言われたので。それはできなかったですけど、ゴール決められてチームに貢献できて良かったです」と喜んだ。

 この日は雨が降りしきる中、サポーターの後押しが大きな力となった。「こういう悪天候の中でもずっと声を出し続けてくれた。応援してくれたサポーターの皆さんには本当に感謝ですし、ここまで来たらみんなで優勝を掴み取りたい。優勝できるように皆さんでまた力を合わせて頑張っていきましょう」と呼びかけていた。

 
横浜FMキューウェル監督、DF上島拓巳退場からの2失点目に「何も言うことはない」 – スポーツ報知

 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第2戦が24日、横浜国際競技場で行われ、横浜FMは蔚山(韓国)と延長戦で2戦合計3―3で決着が付かず、PK戦で5―4で、現行の大会では初の決勝進出を決めた。決勝はUAEのアルアイン(ACL優勝1度)と5月11日と25日に、ホームアンドアウェー方式で戦う。

 試合は3点を先制し2戦合計3―1としてから2失点して追いつかれた。同35分、3度目のアジア制覇を狙う蔚山に右CKから1点を奪われると、一気に暗転した。同39分にはDF上島拓巳がペナルティーエリア内でハンドを犯したとして一発レッドカードを受けた。PKも決められて、2戦合計3―3に追いつかれ、残り時間を10人で戦った。

 今年から就任したキューウェル監督は死闘を制しての決勝進出に「選手たちが最後までよくやってくれた。本当に素晴らしい戦いをしてくれた」とイレブンをたたえた。そして「1人少なくなるまで(試合を)支配していたし、1点を返されたのはしょうがない。2点目も何も言うことはない。次のステージに行くということで、選手だけでなくクラブとしても新たな一歩だと思う」と振り返った。

 この日は雨の中でサポーターが声を枯らしてイレブンの背中を押し続けた。指揮官は「1人少なくなったけれど、サポーターが11人目として最後まで戦ってくれた。これだけ詰めかけてくれて素晴らしい後押しをしてくれたことでこの結果に結びついた。クラブとして新しい一歩。まだ見ぬ景色を成し遂げるために、自分たちにはまだ試合が残っているのでしっかり戦っていきたい」と誓っていた。

 
【ACL】横浜FM、10人で初決勝進出 前半退場者も驚異の粘り、延長PKポープが神セーブ「自分を信じて跳んだ」 – スポーツ報知

 横浜FMは前半に退場者を出しながら堅守で粘り、2戦合計3―3で迎えたPK戦で5人全員が成功し、5―4のスコアでクラブ初の決勝進出を決めた。相手の5本目をGKポープ・ウィリアム(29)がセーブ。決勝進出に伴い、今大会の賞金獲得額200万ドル(約3億980万円)以上が確定した。現行の方式となった2002~03年大会以降、Jリーグ勢の決勝進出は浦和、G大阪、鹿島に続き4クラブ目。アルアイン(UAE)との決勝はホーム&アウェー方式で5月11、25日に行われる。

 粘りに粘った横浜FMに、勝利の女神はほほ笑んだ。2戦合計3―3で120分の死闘を終え、PK戦へ。GKポープが「自分を信じて思い切り跳んだ」と蔚山の5番手を左に跳んでストップし、横浜FMの5番手はDFエドゥアルド。左足でネットを揺らし、5人全員成功で勝利。キューウェル監督(45)は「選手全員に感謝の思いでいっぱい。素晴らしい結果を残してくれた」とうなずいた。

 前半30分までに3点を奪ったが、その後2失点。同39分にDF上島が退場し、数的不利の中で防戦一方に。40本近いシュートを浴び、ポスト直撃も3本あったが、何とか守り抜いてPK戦に持ち込んだ。勝利と同時に選手はゴール裏へ駆けつけ、大雨の中で声援を届けたサポーターと歓喜した。

 決勝進出に伴い、賞金200万ドル以上が確定。順位に応じた賞金が与えられるのは決勝に進む2クラブのみ。“弱肉強食”とも揶揄(やゆ)される大会を勝ち上がり、「ゼロか3億か」の運命の一戦に勝利した。優勝すれば、賞金額は400万ドルに倍増する。浦和、G大阪、鹿島に続く日本勢4クラブ目のACL制覇へ、FW宮市は「クラブとしてもそうだし、日本がどれだけやれるのかも試される。絶対に勝って優勝したい」と気合を入れた。(岡島 智哉)

 
 

サッカーダイジェスト

横浜、ACL初のファイナル進出! 2戦合計3-3、PK戦の末に蔚山との死闘を制す! | サッカーダイジェストWeb

 横浜F・マリノスは4月24日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の準決勝・第2レグで韓国の蔚山と対戦した。

 敵地での第1レグは0-1。ファイナル進出に向け、勝利が絶対に必要な横浜は、30分までに3点を奪取。13分に植中朝日、21分にアンデルソン・ロペス、30分に再び植中がネットを揺らす。

 優位に立った横浜だが、35分にCKからマテウス・サレスのヘディングシュートで被弾。39分にはボックス内のファウルでPK献上の上島拓巳が一発レッドで退場。このPKをダリヤン・ボヤニッチに決められ、3-2で前半を終える。

 数的不利で、トータルスコアは3-3で迎えた後半、横浜は劣勢を強いられるも、粘り強い守備で対抗。守護神ポープ・ウィリアムの好守も光り、ゴールを割らせない。

 結局、後半はスコアボードが動かず。試合は延長戦に突入し、116分にはセットプレーの流れからキム・ミヌに押し込まれるも、これはオフサイドで事なきを得る。

 そして、延長戦でも決着はつかず、勝敗の行方はPK戦に託される。これを横浜が5-4で制して、クラブ初のACL決勝進出を果たした。

 
「身体がけっこうギリギリだった」守護神ポープ・ウィリアム、数的不利の横浜を最後尾で力強く支える「本当に耐える、それだけ」 | サッカーダイジェストWeb

— 渾身のPKストップ「自分を信じて、決めた方向に思いっきり飛ぶ」

 まさに守護神だ。

 横浜F・マリノスは4月24日、アジア・チャンピオンズリーグの準決勝・第2レグで韓国の蔚山とホームで対戦。3-2で勝利も、敵地での第1レグは0-1で負けており、2戦合計3-3で延長戦に突入。120分の戦いを終えても決着はつかず、迎えた延長戦を5-4で制し、決勝進出を果たした。

 第2レグは30分までに3点をリードしたが、セットプレーで被弾すると、PK献上の上島拓巳が一発レッドで退場。数的不利のなか、劣勢の時間が長く、多くのピンチに見舞われたが、そのたびにGKポープ・ウィリアムが立ちはだかった。PK戦では蔚山の5人目、元鳥栖のキム・ミヌのPKを鋭い読みでストップしてみせた。

 試合後のフラッシュインタビューで、ポープは心境を問われると、「本当にホッとしています」と笑顔を浮かべる。

 PKストップに関しては、「身体がけっこうギリギリだったので。駆け引きとかじゃなく、自分を信じて、決めた方向に思いっきり飛ぶ、それだけですね」と振り返る。

 10人での苦しい戦いだった。何度もファインセーブを見せた。

「早い時間に自分のチームが退場してしまって、本当に耐える、それだけというか、自分のところで、なんとかあれ以上、失点しないことだけは意識していました」

 自身のことだけでなく、「チームのみんなもハードワークしてくれて、僕だけじゃなく全員の力で、サポーターのみなさんの力も含めて、マリノスファミリー全員で掴み取った勝利だと思います」と語り、喜びを噛みしめた。

 
「韓国に2回負けるわけにはいかない」パリ五輪世代の植中朝日が意地の2発! ACLは大チャンス「アジア中に自分の名前を広めたい」 | サッカーダイジェストWeb

— パリ五輪最終予選のメンバーには選ばれず

 横浜F・マリノスは4月24日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝・第2戦で、韓国王者の蔚山現代とホームで対戦。敵地での第1レグは0-1で落としたなか、30分までに3発を叩き込み、一気に逆転するも、その後に2失点。2戦合計3-3に追いつかれ、PK戦までもつれ込んだ末に雨中の死闘を制し、決勝進出を果たした。

 圧巻の活躍を見せたのが植中朝日だ。インサイドハーフで先発した22歳は、13分に相手の一瞬の隙を見逃さずに先制点を奪えば、アンデルソン・ロペスが追加点を挙げて迎えた30分には、GKはノーチャンスの鮮烈なミドルシュートでこの日2点目を叩き込んでみせた。

 もっとも、植中はこの大一番に出場していなかった可能性がある。カタールで開催されている、パリ五輪アジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップに参戦していたかもしれないのだ。

 京都と地元の北九州で行なわれた直前の親善試合のメンバーには選出されるも、カタール行きは逃したなかで、植中は率直な心境をこう明かす。

「どっちにしても、マリノスも本当に大事な試合が待っていたので、落ち込む暇はなかったです。そういった時に、こういう舞台で監督からチャンスをもらっていたなかで、なかなかゴールに直結するようなプレーができてない時間が多かったので、気持ちを晴らすじゃないけど、ゴールが取れたのは本当に自分の感覚的なものも楽になりました。

 自分が代表に入らなかったことも全然理解できていました。今の代表がなかなかゴールが取れていない状況は、自分が入ったからって解決できるかって言われると分かんないです。でもこうやって、こっちのチームでそういうことを示していければ、またこの後の、もしオリンピック予選をしっかり通過できると、また代表に入れるチャンスがあると思っているので、そういったところを見越して、こっちのチームで活躍していきたいです」

 自分たちがACLを戦うのと時を同じくして、パリ五輪の出場権を争うU-23日本代表の選手たちから、刺激を受ける部分もあるようだ。

「代表チームの選手とも何人かと連絡を取ったりするので、向こうの状況も入ってきますし、この前の韓国戦も見たりはしていました。日本のチームが韓国に2回負けるわけにはいかないので、代表チームとクラブチームの違いはありますけど、自分も代表の選手たちに負けてられないので、今日はこういう結果が出せて良かったです」

 ACLは「自分の価値を高められるチャンス。決勝でゴールを決めて、まずはアジア中に自分の名前を広めたいです」とぎらつくマリノスの14番は、アジア王者経由で金メダルを目ざす。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

 
「迷惑をかけた。GKとして良くない」ポープ、好守連発で韓国王者撃破に大貢献も猛省。PK戦はトレンド意識【ACL準決勝】 | サッカーダイジェストWeb

— 「本当に危ないというか、プレーに支障が出るレベル」

 4月24日に開催されたアジア・チャンピオンズリーグの準決勝・第2レグで、横浜F・マリノスは蔚山現代とホームで対戦。敵地での第1レグは0-1で敗れていたなか、3-2で2戦合計3-3とし、最後はPK戦の末にクラブ史上初の決勝進出を決めた。

 マリノスは植中朝日の2発とアンデルソン・ロペスのゴールで、30分までに3点を先行し、一気に形成を逆転する。しかし、その後に状況が一変。36分、42分と連続失点して追いつかれたうえ、上島拓巳が一発退場となり、後半以降は終始押し込まれる展開となる。

 それでも、今季にFC町田ゼルビアから加入したポープ・ウィリアムが好守を連発。雨のなかトータル43本のシュートを浴び、両足がつる満身創痍ながら、PK戦でも活躍を見せ、韓国王者撃破に導いた。

 歴史的勝利の立役者となった新守護神は試合後、「本当に嬉しいですね。もうシンプルにそれです」と喜びを噛みしめた後、謙虚にチームメイトへの感謝を伝えた。

「僕の前で本当にハードワークしてくれました。そういう選手たちがいるおかげで、自分も気持ちを込めて戦えます。本当に厳しい展開でしたけど、全員で耐えることができて、結果的にこうやって勝ち切れたことは、本当にチームにとって大きいことだと思います。

 最後の最後まで粘り強く戦ってくれているチームメイトに対して、僕も誠心誠意やらなきゃいけない気持ちになっていたので、本当に頼もしかったですね」

 交代枠は使い切っており、足が言うことを聞かなくなってもゴールを守り続けた。

「PKまで耐えきればなんとかなる認識だったんですけど、本当に危ないというか、プレーに支障が出るレベルで。ゴールキックも全然飛ばなかったですし、チームに迷惑をかけました。こういうことはゴールキーパーとして良くないですし、本当にあってはいけないことなので、まだまだそういう準備や、日々の過ごし方の部分で改善できる部分があると思います」

 PK戦では4人目が真ん中に蹴ってくると踏み、動かなかったところ、その通りにボールが飛んできたが、前に弾けず防げなかった。ただ、その次のキッカーのPKを見事にストップしてみせた。

「どっかで1人は(真ん中に)蹴ってくるだろうなと。最近トレンドみたいになっているので。(4人目は)止めた感覚はあったんですけど、少しボールが速かったのもありますし、ちょっともったいなかったというか。でも結果的に勝てたので、それが全てかなと。(5人目は)本当にギリギリまで我慢して、方向を決めて飛ぶだけというか、意外にシンプルというか、駆け引きよりかは本当に自分を信じてやるだけでした」

 補強の成功を含め、あらゆる意味で“大当たり”のポープ。その存在感は日を追うごとに増しており、悲願のアジア制覇を懸けたアル・アインとの決勝でも大きな期待が懸かる。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

 
PK戦で何番目に蹴る予定だった? 宮市亮の答えに報道陣爆笑! ゴール裏のサポートに特大感謝「勝ちを持ってこれた」【ACL準決勝】 | サッカーダイジェストWeb

— 「退場が出るまでは今シーズン、ベストゲーム」

 横浜F・マリノスは4月24日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の準決勝・第2レグで蔚山現代(韓国)とホームで対戦。敵地での第1レグは0-1で落としたなか、3-2で2戦合計3-3とし、最後は延長戦を経て行なったPK戦を制し、アル・アイン(UAE)との決勝に駒を進めた。

 すでに3-2となり迎えた81分から、水沼宏太と共にピッチに入った宮市亮が、試合後に取材に対応。まず、満面の笑みで「嬉しいですね」と決勝進出の喜びを伝えた後、3点を先行しながら2点を奪い返されたうえ、上島拓巳にレッドカードが提示されるという、非常に難しい展開となった激闘を振り返った。

「本当に今日の試合に関しては、退場が出るまでは今シーズン、ベストゲームと言ってもいいぐらいの押し込みというか、良いゲームでした。3対2になってから、難しい展開というか、これがACLだなと。簡単ではない試合でしたけど、最後の最後まで諦めなかった姿勢が、勝利に結びついたと思います」

 平日、しかも雨が降るなか、大勢のサポーターが来場した。特にPK戦の際には、ゴール裏から大きな後押しを受けた宮市は、特大の感謝を示す。

「マリノスの選手が蹴る時は歌って、向こうが蹴る時はブーイングをしてっていう、かなり向こうにプレッシャーがかかったと思います。あそこで(勝利が)決まった時は本当に嬉しかったです。すごく大きな力になって、勝ちをこっちに持ってくることができたので、本当に感謝しています」

 ちなみに、5人で勝負が決まったPK戦で、宮市は何番目に蹴る予定だったのか。アタッカーだけにある程度、早めの順番を予想していたが、両足がつり満身創痍だった守護神のポープ・ウィリアムを除けば、ほぼ最後という答えに報道陣は爆笑した。

「僕は8番でした」

 PKにはあまり自信がないのだろうか。となれば流れのなかから、悲願のアジア制覇に導く一発を期待したいところだ。ハマのスピードスターは決勝に向けて「クラブとしても初めてのところですし、Jリーグの代表っていうのもある。日本がどれだけやれるのかが示される機会」と意気込む。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

 
なぜ横浜は数的不利でも蔚山に勝てたのか。39分以降に指揮官キューウェルが強調したこと【ACL準決勝】 | サッカーダイジェストWeb

— 「選手が柔軟性を持って対応してくれた」

 まさに死闘だった。
 
 横浜F・マリノスは4月24日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の準決勝・第2レグで蔚山現代(韓国)とホームで対戦した。

 敵地での第1レグを0-1で落としたなか、序盤から攻勢に出た横浜は13分に植中朝日のゴ―ルで幸先良く先制すると、21分にはアンデルソン・ロペス、30分には再び植中が得点を奪い、リードを広げる。

 しかし、36分にセットプレーから失点すると、その3分後にはDF上島拓巳がボックス内でハンドの反則を犯し、一発レッドで退場。このPKを決められ、すぐに2戦合計スコア3-3に追いつかれる。

 数的不利になって以降は、相手の猛攻を受け続けたが、ピッチに立った全員が身体を張り、延長戦を含めてゴールを死守。迎えたPK戦では5人全員が決めて5-4で勝利し、クラブ初のACL決勝進出を果たした。

 試合後、会見に出席したハリー・キューウェル監督は、次のようにゲームを振り返った。

「36分までは自分たちのサッカーができました。攻撃のパターンがうまく行き、しっかり支配した。蔚山には特に攻撃をさせなかった印象でした。

 そのなかで一人ひとりの選手が、ひとり少ない状況を80分以上も戦って、素晴らしい結果を残してくれた。

 チームが一丸となって最後の最後までやり切る。もちろん運もありましたが、全員に対して感謝の気持ちでいっぱいですし、みんなにおめでとうと言いたい」

 上島の退場後、指揮官はアンカーの榊原彗悟を右SBに移して4-2-3に。そして後半のスタートからは榊原をアンカーに戻し、DFエドゥアルドとMF山根陸を投入して4-3ー2のシステムに変えた。数的不利の状況で、どのように戦っていこうとしていたのかを問われると、指揮官はこう明かした。

「正直、(上島が)退場すると思っていなかったですが、そういう状況になった時に一番重要なことは、柔軟性だと思います。

 彼らが今、どのような強みを持って試合運びをしているのか。サイドを使ってクロスからシュート、あとは中央に(ボールを)付けてからのシュートもありました。10人で戦う時間は長かったですが、自分たちにも少なからずチャンスが来ると信じてやっていました。

 相手にはたくさんのチャンスがあり、テンポも素晴らしかった。10人になったとしても守備は大事で、一人ひとりがよく守ってくれた。

 試合の中ではいろんな変更がありますが、あまり複雑なことを言ってしまうと混乱を招くこともあるので、シンプルに伝え、選手が柔軟性を持って対応してくれたから、あそこまで戦えた」

 ACL決勝では、UAE(アラブ首長国連邦)のアル・アインと相まみえる。かつてアルゼンチン代表として名を馳せたエルナン・クレスポ監督が率いるチームを相手に、どんな戦いを見せてくれるか。オーストラリア人指揮官の手腕に期待だ。 

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

ファン・サポーターの声援も力に。“マリノスファミリー”が一丸となって掴み取った勝利【ACL準決勝】 | サッカーダイジェストWeb

— 「あれだけサポートしてくれたのは、本当に感謝」(水沼)

 横浜F・マリノスは4月24日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の準決勝・第2レグで、蔚山現代(韓国)とホームで対戦した。

 敵地での第1レグを0-1で落とし、クラブ初の決勝進出を果たすためにはゴールが必要不可欠な横浜は、30分までに3点を奪う。

 しかし、36分にセットプレーから失点すると、39分には上島拓巳がボックス内でのハンドで一発レッド。それで与えたPKを決められ、2戦合計3-3で試合を折り返す。

 数的不利になってからは防戦一方となり、延長戦に入ってからは複数の選手が足をつるなか、それでも全員が身体を張ってゴールを守り抜くと、迎えたPK戦を5-4で制した。 

 この日は平日で、冷たい雨が降っていたが、試合前から多くのファン・サポーターが大きな声援を送っていた。ACLに限らず、リーグ戦などでも変わらない応援でサポートしているのはもちろん承知しているが、いつも以上に熱い気持ちを感じた。

 また、3点を取った後に失点しても、フィールドプレーヤーが10人になっても、チームを信じて後押しし続ける姿には心を打たれた。

 ゲームキャプテンを務めた松原健も、こう語る。

「サポーターの皆さんが、水曜日でかつ土砂降りのなか、集まってくれて、10人になってからも僕たちが攻めている時や失点を防いだ時に盛り上げてくれて、間違いなく力になりましたし、それでやり切れました」
 
 また、水沼宏太も感謝を口にする。

「初めて経験する準決勝の舞台は、みんな高揚感があったと思いますし、間違いなく良い雰囲気でした。この前のアウェー戦で、ACLでのホームの利はJリーグ以上にあると感じたので、あれだけサポートしてくれたのは、本当に感謝です」

 ちなみに水沼は、PK戦で2番手のキッカーを務め、成功させた後にサポーターを煽る仕草を見せた。これについては、「ポープ(・ウィリアム)が守る時、ゴール裏の雰囲気が鳥肌が立つくらい良かった。これは絶対にプレッシャーになると思ったので、『頼む、一緒に戦ってくれ』と感じてもらえるようにやりました」と明かしてくれた。

 2人の言葉からも、まさに“マリノスファミリー”が一丸となって掴み取った勝利と言えるだろう。

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

 
「ナイス勝利! 決勝も勝つぞー!」圧巻2発で絶叫の植中朝日、キューウェル監督からの指令は未達成「反省しています」【ACL準決勝】 | サッカーダイジェストWeb

— 「できすぎ。もう見れないかも(笑)」

 横浜F・マリノスは4月24日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝・第2戦で、韓国王者の蔚山現代とホームで対戦。2戦合計3-3で突入したPK戦を制し、夢にまで見たアジア制覇に王手をかけた。

 敵地での第1戦は0-1で敗れたなか、マリノスは30分で3発を叩き込み、一気に逆転。ただその後、前半のうちに連続失点し、2戦合計で同点に追いつかれたうえ、上島拓巳が一発退場となり、押し込まれる我慢の時間が続いたが、決死の守備で勝ち越し点は許さず。チーム一丸で決勝進出を勝ち取った。

 このクラブ史に残る大熱戦で圧巻の2発を叩き込んだのが、インサイドハーフで先発し、62分までプレーした植中朝日だ。まず13分にペナルティエリア内での相手の一瞬のお見合いを見逃さず、ボールをかっさらい、冷静にフィニッシュ。さらに30分には、ペナルティエリア手前から強烈なミドルシュートを突き刺した。

「自分のゴールももちろん嬉しいですけど、 チームが勝ったことがそれより嬉しいので、本当に120分間とPKを必死に頑張ってくれたチームメイトに感謝したいです」

 試合後の取材対応で、謙虚にそう語る22歳のストライカーは、自身のゴールに関して問われた際には、次のように振り返った。

「1点目は相手ディフェンダーのもたつきがあって、自分的にはそういうところを常に狙っているので…ラッキーだなって感じでした。

 2点目は自分の後ろに相手がいるのも分かったうえでターンできると思って、ターンした時に打とうと。シュートはできすぎました(笑)。置き位置は完璧じゃなかったんですけど、置き位置的にニアで巻けるかなって。僕のあんなゴール、もう見れないのかもしれないですけど(笑)、とりあえずああやって決まったので、また自信を持ってああいうのも打っていこうと思います」

 ハリー・キューウェル監督からは、前日にハットトリックの指令があったという。

「前日会見があって部屋から出た時に、『明日お前3点取れよ』みたいな感じで言われて、 『もちろんです』と答えたんですけど、1点足りなかったので反省しています」

 勝利のお祝いとして行なう、観客に向けた円陣では、マイクを手に「ナイス勝利!決勝も勝つぞー!」と声を張り上げた。「あんまりするタイプじゃないんですけど、今日ぐらいはいいかなって」とはにかむ初々しい22歳は、ここからゴール量産となるか。再びの絶叫を期待したい。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

 
「J2のベンチ」の翌年にACL決勝へ――マリノス新守護神の“成り上がり” 「自分で切り開いていくのがサッカー選手の人生」 | サッカーダイジェストWeb

— アジア制覇に相当な覚悟「クラブの今後が変わってくる」

 横浜F・マリノスは4月24日、アジア・チャンピオンズリーグの準決勝・第2レグで、蔚山現代とホームで対戦。2戦合計3-3で突入したPK戦を制し、見事に決勝進出を果たした。

 敵地での第1レグは決め手を欠き、0-1で敗戦。ただ、今回は開始13分で植中朝日が奪った先制点を皮切りに、30分までに3ゴール。一気に形勢を逆転するが、それも束の間、36分、42分と連続で被弾して追いつかれたうえ、上島拓巳がレッドカードを食らい、数的不利となる。

 今季のベストゲームと称せるような序盤から打って変わって、韓国王者の猛攻に耐える時間が続くも、GKポープ・ウィリアムの再三の好守で勝ち越し点を阻止。なんとかPK戦に持ち込むと、再びポープのビッグセーブが生まれ、歓喜の瞬間を迎えた。

 頼れる守護神は試合後、UAEの雄アル・アインとの決勝に向け、力強くこう意気込みを示した。

「本当に大きな大会ですし、これを獲るか獲らないかでクラブの今後も変わってくると思います。そういうなかでもプレッシャーを楽しみながら。自分自身、どの試合も優劣はつけずにやってきたつもりなので、そういう大きな大会だからといって特別なことをするわけでもなく、本当に日々、今まで積み重ねてきたことを愚直にやり続けるだけです」

— 「川崎を出てから、本物のレベルを知れた」

 今年10月に節目の30歳となるポープは、東京ヴェルディでプロキャリアをスタートさせた後、川崎フロンターレをはじめ、各クラブを渡り歩き、今季にFC町田ゼルビアから横浜に加入した。自身のキャリアは苦難の連続だったと振り返る。

「去年の最後はJ2のベンチだったりしたなかでも自分を信じて、苦しい時期もありましたけど、やり続けることでこうやってどんどん道は開いていくというか。強い気持ちを持って自分で切り開いていくのがサッカー選手の人生だと思います。ゴールキーパーは4人いて1人しか出られないですし、そういうなかでも、どれだけ自分を信じられるか、どれだけ日々、大切に過ごしていけるのか。そういうことは本当に大切。

 自分は川崎を出てから、本物のレベルを知れて、そこに追いつきたい、追い越したいという気持ちを持って毎日、地道にやってきたので、こういう舞台に繋がったのは本当に感慨深いです。今日も自分の中で色んなことを思い返しながら、PK戦の場面を迎えられたので、悔しい思いや、辛い時期を乗り越えてきた自分自身のことが本当にパワーになりました。今まで我慢できて良かったなとすごく思います」

 ACLは2023-24と年をまたいでの開催だ。ここまで辿り着くまでの長い道のりには、昨年にローンで加入し、正GKを務めた一森純(現ガンバ大阪)や、海外へ羽ばたいた西村拓真(現セルベット)ら、今はいない選手たちの頑張りがあった。

「ここまでは、僕が何かをした、何かをやった大会ではなかったので。自分は決勝トーナメントからで、色んな人の思いが積み重なってここまで来れていると思いますし、そこに対しては本当に感謝しています」

 思い返せば1年前、浦和レッズが出場権獲得から、足掛け3年に渡る戦いの末にACL制覇を果たした際、伊藤敦樹は「多くの今いない選手が関わっている大会だった。本当にこのタイトルの重みは素晴らしい」と口にした。

 同じく、あらゆる人たちがバトンを繋ぎ、決勝まで勝ち上がったマリノスは、感謝の思いを胸に、まだ見ぬ最高の景色を共有できるか。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

 
「試合数が多すぎて終盤なのかなって」宮市亮が駆け抜けたACL決勝までの怒涛の2か月。長谷部誠への思いも「本当に偉大な背中」 | サッカーダイジェストWeb

— 「メディアを通して伝えてほしいなと思います」

 度重なる怪我を乗り越えたハマのスピードスター、宮市亮が濃密なシーズン序盤に手応えを示した。

 横浜F・マリノスは4月24日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝の第2レグで、蔚山現代(韓国)とホームで対戦。敵地での第1レグは0-1で敗れたなか、3-2で2戦合計3-3とし、PK戦に持ち込んだ末に雨中の死闘を制し、アル・アイン(UAE)との決勝に駒を進めた。

 宮市は81分から水沼宏太と共にピッチに入り、縦横無尽にピッチを疾走。ファーで必死に足を伸ばし、あとわずかで決勝点という惜しい場面を作ったほか、延長終盤にはチームを勢いづかせる猛烈なプレスでスタンドを大いに沸かせた。

 試合後、大粒の汗を流しながら取材エリアに姿を見せた宮市は、充実した表情で「簡単ではない試合でしたけど、最後の最後まで諦めなかった姿勢が、勝利に結びついたと思います」とコメント。そのうえで、今季開幕からの怒涛の2か月に関して、次のように語った。

「試合数が多すぎてシーズン終盤なのかなって思うぐらいの怒涛の感じです。だけど、まだ4月で、シーズンで言えば、あと8か月ぐらいあるので、しっかり怪我なくやっていきたいと思います。離脱することなく頑張りたいです」

 先日には、日本代表の先輩であり、自身もプレーしたドイツリーグのレジェンド、長谷部誠が今季限りでの引退を発表した。「何かメッセージを送りましたか?」と尋ねると、宮市はその場でこんな熱いメッセージを発信した。

「僕が掛ける言葉というか、何千、何万のメッセージが来ていると思うので、あえて僕からはあれでしたけど…。本当に日本の先駆けというか、ドイツであれだけ活躍できるのも、 彼にしかできないことだと思います。まだシーズンが最後まであるので、『お疲れ様』と言うのは早いかもしれないですけど、『本当に偉大な背中を見せていただいてありがとうございます』と、メディアを通して伝えてほしいなと思います」

 左腕に腕章を巻き、先頭を走り続けた40歳から刺激を受ける31歳は、Jリーグ、ACLの舞台でさらなる輝きを放てるか。その先にある日本代表復帰も大いに期待したいところだ。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

 
「『本当に良いゲームだったね』って」元同僚の宮市亮&天野純が語る韓国レジェンドの人柄「活躍できたのは彼のおかげ」 | サッカーダイジェストWeb

— ACL準決勝で再会。試合後に健闘を称え合う

 横浜F・マリノスは4月24日、ACLの準決勝・第2レグで、韓国王者の蔚山現代とホームで対戦。敵地での第1レグは0-1で接戦を落としたなか、3-2で2戦合計3-3とし、PK戦まで持ち込んだ末に、クラブ史に残る激闘を制し、アル・アインとの決勝に駒を進めた。

 まさにノーサイド――。試合後、横浜国際総合競技場で微笑ましい光景が広がった。宮市亮と天野純が元チームメイトのイ・チョンヨンと熱く健闘を称え合い、再会を祝したのだ。

 宮市はイングランドのボルトンで、今回は古巣対戦となった天野は蔚山で、イ・チョンヨンと共にプレー。韓国代表で89キャップを誇るレジェンドとの間には、それぞれ深い思い出があるようだ。

 宮市は「『本当に良いゲームだったね』『おめでとう』って言葉を掛けてもらいました。本当のお兄ちゃんのような存在なので、素直に『おめでとう』と言ってくれましたし、『頑張ってね』ってことを話し合いました」と会話の内容を伝えたうえで、今も続く交友関係をこう明かした。

「オフシーズンに僕が韓国に行ったり、彼が日本に来てくれたり、親交があります。だけど、ピッチの上で戦う機会はなかなかなかったので。今回は僕らに(勝利が)転んでくれて良かったなと思います。

 この間の試合(蔚山での第1レグ)が終わって、少し食事する時間があってゆっくり話しました。(一緒に戦った際は)僕が 19歳で彼が22歳ぐらい。『この10数年でこういった形で会うなんて想像してなかったね』って話はしていました。お互いまだ現役として、この高いレベルでやれていることは本当に素晴らしいと思いますし、勝負の世界でどっちに転ぶか分からないですけど、今回に関しては本当に良かったです」

— 「ブーイングは愛されている証拠」

 また、「人生で一番勝ちたいくらいの気持ち」で臨んだ天野は、蔚山に加入した際に、公私で非常に助けられたという。

「前回のアウェーの時も試合後に会ったりして、良い友好関係を築けています。素晴らしい選手だし、韓国移籍1年目で本当にお世話になった選手なので、リスペクトしています。1年目に活躍できたのは彼のおかげでもあると思うので、本当に感謝しています」

 韓国の恩人より3つ年下で現在32歳のレフティは、2022年1月に横浜から蔚山にレンタル移籍するや、すぐさま攻撃を牽引する中心選手に。9ゴールを挙げ、17年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献したが、わずか1年で退団し、ライバルの全北現代に活躍の場を移した。

 そうした経緯から第1レグに続き、横浜に駆けつけたアウェーサポーターからブーイングを浴びたなか、古巣への思いも伝えた。

「アウェーでもブーイングがすごかったですけど、逆に愛されている証拠だと実感しています。そういった相手に対して、何としても勝ちたい気持ちが本当に大きかったし、これだけの(マリノス)サポーターが来てくれたので、雰囲気がすごかったし、笑顔で家に帰ってほしかったので、それができて良かったです」

 色々な人の思いを背負って、クラブ史上初の決勝に臨むマリノス。最後にUAEの難敵を下し、夢にまで見たアジアの頂点に辿り着けるか。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

 
 

サッカーキング

横浜FMがACL決勝へ! 3点リード生かせず、前半で上島拓巳が退場も…PK戦で蔚山現代を下す | サッカーキング

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝セカンドレグが24日に行われ、横浜F・マリノス(日本)と蔚山現代(韓国)が対戦した。

 アジアの頂点を目指す戦いもいよいよ佳境を迎えている。東地区ではアル・アイン(UAE)がアル・ヒラル(サウジアラビア)を2戦合計5-4で下して、2016シーズン以来の決勝進出を決めた。ファイナルへの切符のもう一枚をかけた東地区の準決勝では、横浜FMと蔚山現代の“日韓対決”が実現。クラブ史上初のベスト4進出を決めた横浜FMだが、17日に行われたフォーストレグでは0-1で惜敗。本拠地『横浜国際総合競技場』でのセカンドレグで逆転を目指す。

 雨が降りしきる中でキックオフとなった一戦は、序盤からホームの横浜FMが攻勢を強める。13分、右サイドでヤン・マテウスが起点を作ると、中央への低いパスをA・ロペスがスルー。ナム・テヒの足元には収まらなかったものの、ボックス内右に詰めた植中朝日が冷静にネットを揺らし、2戦合計スコアを1-1とした。先制した横浜FMは、何度か蔚山現代の鋭い攻撃を受けるも、守備陣が集中した対応を見せ得点を与えず。逆に榊原彗悟や永戸勝也の際どいミドルシュートでチャンスを作る。

 すると21分、ボックス手前で細かくボールを動かし、ボックス手前中央でヤン・マテウスの縦パスを引き出したA・ロペスが左足を一閃。強烈なシュートがゴール右下隅に突き刺さり、横浜FMが2戦合計で逆転に成功する。30分には巧みな反転で前を向いた植中がボックス手前中央からゴール右隅に狙い澄ましたミドルシュートを突き刺し、一気にリードを広げた。

 しかし35分、イ・ドンギョンの右CKからマテウス・サレスに強烈なヘディングシュートを叩き込まれ2点差に。その4分後にはオム・ウォンサングの突破を阻止しようとした上島拓巳がボックス内でハンドの反則を犯し、レッドカードで退場に。その後のPKを沈められ、2戦合計スコアは3-3となった。数的不利となった横浜FMは蔚山現代に主導権を握られるも、クロスバーにも救われ、何とか1点リードで前半を終えた。

 後半開始早々の47分、ボックス内右へ抜け出したソル・ヨンウが鋭い切り返しで対峙したDFを翻弄し、斜め後方のダリヤン・ボヤニッチへパス。右足のダイレクトシュートがネットを揺らすも、ゴール前のグスタフ・ルドヴィグソンがオフサイドポジションにいたとして、得点は認められなかった。横浜FMはその後も立て続けにピンチを迎えるも、GKポープ・ウィリアムの好セーブもあり、ゴールを割らせない。

 63分、横浜FMは永戸の左からのクロスにヤン・マテウスが頭で合わせてネットを揺らしたが、惜しくもオフサイドの判定。その後は蔚山現代に押し込まれる我慢の時間が続くが、最終局面で各選手が粘り強い対応を見せ、同点ゴールを与えぬまま時計の針を進めていく。87分にはルドヴィグソンのクロスにキム・ミヌが合わせるも、決定的なシュートは右ポスト直撃。2戦合計スコア3-3のまま90分間が終了した。

 延長戦では蔚山現代が途中出場のケルビンを起点に何度もチャンスを作る。横浜FMも108分に天野純のボール奪取から決定機を迎えるも、水沼宏太のシュートは相手GKの好セーブに阻まれた。114分には蔚山現代のケルビンが放ったシュートが左ポストを叩く。互いに好機を生かせぬまま決着はPK戦に委ねられた。互いに4人ずつが成功して迎えた蔚山現代の5人目キム・ミヌのキックをGKポープ・ウィリアムがセーブ。対する横浜FMの5人目エドゥアルドはネットを揺らし、試合が終了した。

 PK戦を制した横浜FMがアル・アインの待つ決勝戦へ進出。なお、決勝戦もホーム&アウェイ方式で行われ、ファーストレグが5月11日、セカンドレグが同25日に予定されている。

 
死闘制しACL決勝へ! 横浜FMの守護神ポープが気迫のPKストップ「決めた方向に思い切り飛ぼうと…」 | サッカーキング

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝セカンドレグが24日に行われ、横浜F・マリノス(日本)は蔚山現代(韓国)と対戦。90分間を3-2で終え、2戦合計スコアを3-3とすると、その後のPK戦に5-4で勝利し初の決勝進出を決めた。

 敵地でのファーストレグを0-1で落とした横浜FMは、植中朝日の2ゴールとアンデルソン・ロペスの得点で30分までに3点をリード。しかし、35分に1点を返されると、その4分後には自陣ボックス内でハンドの反則を犯した上島拓巳にレッドカードが提示され、さらにPKを決められ2戦合計スコアが3-3となる。それでも、その後は蔚山現代の猛攻を凌いで延長戦まで戦い切ると、PK戦を制してアル・アイン(UAE)が待つ決勝へ駒を進めた。

 2失点を喫したものの、この試合で好セーブを連発し、PK戦では蔚山現代の5人目キム・ミヌのキックを見事にストップしたGKポープ・ウィリアム。今シーズン新加入の守護神は「ほっとしています」と率直な思いを吐露しつつ、PK戦については「体が結構ギリギリだったので、駆け引きとかではなく、自分を信じて決めた方向に思い切り飛ぼうと。それだけです」と言及。その上で試合の振り返りと決勝戦への意気込みを次のように語った。

「早い時間に自分のチームが退場してしまい、本当に耐えるだけというか、自分のところで何とかあれ以上失点しないことは意識していました。チームのみんなもハードワークしてくれましたし、チーム全員の力、サポーターの皆さんの力も含めて、マリノスファミリー全員で掴み取った勝利だと思います」

「マリノスがこれまで取っていないタイトルですし、僕自身も初めてなので、このクラブのために自分自身の力を発揮できるように、ここからもう一回良い準備したいです」

 アル・アインとの決勝戦はファーストレグが5月11日、セカンドレグが25日に予定されている。

 
“イスタンブールの奇跡”から19年…キューウェル監督とクレスポ監督がアジアの頂点をかけて激突へ | サッカーキング

 “イスタンブールの奇跡”と称される2004-05シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝から約19年、かつて欧州最高峰のピッチに立った2人が監督としてAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝で対戦する。

 24日に行われたACL準決勝セカンドレグの結果、横浜F・マリノスの決勝進出が確定した。ファーストレグを0-1で落とした横浜FMは、本拠地『横浜国際総合競技場』で30分までに3点をリード。しかし、35分にCKから1点を返されると、その直後にはボックス内でハンドの反則を犯した上島拓巳がレッドカードを提示され退場に。蔚山現代(韓国)に2点目を許し、2戦合計スコアは3-3となった。

 数的不利となった横浜FMだったが、ここから驚異的な粘りを見せる。蔚山現代の猛攻を守護神ポープ・ウィリアムを中心とした守備で跳ね返し続けると、クロスバーやポストにも救われ、延長後半終了までゴールを許さず。迎えたPK戦では5人全員が成功し、ポープが蔚山現代の5人目のキックを見事にセーブ。雨中の死闘を制し、クラブ史上初めてACL決勝へ駒を進めた。

 チームを率いるのはハリー・キューウェル監督。現役時代はリーズやリヴァプール、ガラタサライなどで活躍し、国際Aマッチ通算56キャップを誇るオーストラリア代表では17ゴールをマークした。かつて“オズの魔法使い”とも称された45歳は今シーズン開幕前に横浜FMの指揮官に就任し、試行錯誤を繰り返しながらも、チームをアジア制覇の一歩手前まで導いている。

 決勝戦で激突するのはUAE(アラブ首長国連邦)の強豪アル・アイン。元アルゼンチン代表FWのエルナン・クレスポ監督率いるチームは、準々決勝でポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド擁するアル・ナスル、準決勝でブラジル代表FWネイマールが所属するアル・ヒラルを撃破。2003年以来2度目のアジア制覇に王手をかけた。

 キューウェル監督とクレスポ監督は現役時代に5度対戦。そのうちの1試合が2004-05シーズンのCL決勝だ。この試合はクレスポ監督の2ゴールもあり、ミランが前半だけで3点のリードを奪うも、リヴァプールが後半の僅か6分間で試合を振り出しに戻し、延長戦を含めた120分間を3-3のタイスコアで終える。その後のPK戦を3-2で制したリヴァプールが、21年ぶりにビッグイヤーを掲げた。この時、キューウェル監督もリヴァプールの一員として先発出場を飾っている。

 イスタンブールでの激闘から約19年、かつて同じ芝を踏んだキューウェル監督とクレスポ監督が、今度はアジアの頂点をかけて激突する。そして、勝敗が決するセカンドレグの開催日は5月25日。奇しくも“イスタンブーの奇跡”と同じ日付となっている。

 
【写真ギャラリー】2024.4.24 AFCチャンピオンズリーグ 準決勝 第2戦 横浜F・マリノス 3-2(2戦合計:3-3/PK戦:5-4) 蔚山現代 | サッカーキング
 
 

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横浜FMが10人で粘り勝つ! PK戦までもつれる蔚山との激闘を制し、逆転でACL決勝進出を決める!◎ACL準決勝第2戦 (1/2) – サッカーマガジンWEB

— 好守連発のポープ、PKでも4人目をストップ!

 序盤と終盤で全く展開が異なる試合になった。90分を通しての話ではない。前半の序盤と終盤で全く異なる状況になったのだ。

 前半の、序盤。横浜FMは気迫と闘志、そして攻めの姿勢をピッチで表現してみせた。敵地で行われた第1戦に0−1で敗れ、90分で決勝進出を決めるためには2点差以上の勝利が条件だったが、スタートからギア全開。

 4−3−3の陣形でラインを高く設定し、コンパクトな陣形を保って前から相手にプレッシャーをかけていく。セカンドボールにも素早く反応。球際の争いで上回り、素早く攻めに転じて蔚山ゴールに迫った。

 ケガから復帰を果たしたエウベル、アンデルソン・ロペス、ヤン・マテスの3トップに加え、インサイドハーフの植中、ナム・テヒが鋭く縦を突いていく。幅も使って相手を揺さぶり、横浜FMがペースを握った。

 その攻めの姿勢が実を結んだのは、13分のこと。ヤン・マテウスの右クロスをA・ロペスがスルーし、ナム・テヒのトラップが流れたところに誰よりも早く植中が反応。右足で蹴り込んで横浜FMが先制した。

 さらに21分。A・ロペスのシュートのこぼれ球をヤン・マテウスが拾ってエウベルとパス交換。ボックス外で再びボールを引き取ったA・マテウスがタイミングを外してシュートを放ち、ボールをゴール右隅に送り込んだ。

 早々に2点を記録し、2試合合計で2−1と蔚山を逆転した横浜FMは30分にも1点を加える。植中が目の覚めるようなミドルシュートをねじ込み、合計3−1とリードを広げた。

 だが、『前半の終盤』、状況は一変する。35分、相手の左CKの場面でマテウス・サレスにヘディングシュートを決めらると、39分、予期せぬ事態に陥った。オム・ウォンサンに裏に抜け出され、CBの上島が慌ててボックス内でスライディングして対応。体が完全に寝た状態になっているところで切り替えされ、上島が伸ばしていた手にボールが当たってしまう。

 アリレザ・ファガニ主審は迷わずPKの判定を下し、同時に上島にレッドカードを提示。リードを奪ったはずの横浜FMは一転して大きなピンチを迎えた。

 ダリヤン・ボヤニッチに冷静にPKを決められ、2試合合計3−3と追いつかれ、しかも以降は1人少ない状況での戦いを強いられることになった。

 前半の残り時間を何とか耐え切った横浜FMだったが、後半を迎えるとますます防戦一方になる。前にボールを送ることができず、自陣でプレーする時間が長くなった。

 49分にボヤニッチに決められたシュートはルドウィグソンがオフサイドの位置にいたために取り消され、一方、横浜FMも63分にヤン・マテウスが決めたヘディングシュートはオフサイドの判定。ほぼ自陣でプレーしていた横浜FMにとっては後半最初のチャンスだったが、ゴールは認められなかった。

 アディショナルタイムの7分を経てもネットは揺れず、試合は延長戦に突入する。よりオープンな展開になり、延長後半にはボックス左で水沼が決定機を迎えたが、シュートは相手GKチョ・スヒョクの好守に防がれた。

 114分にはマルティン・アーダームにボックス内からシュートを打たれる場面もあったが、ポープが触って辛くもCKに逃れる。直後のCKの流れからもキム・ミヌにシュートを許したが、オフサイドの判定で事なきを得た。横浜FMは押し込まれても、ぎりぎりのところで失点を回避し続けた。

 結局120分でも勝負はつかず、試合はPK戦に突入。先攻の蔚山がマルティン、ケルヴィン、コ・サンボム、イ・チョンヨンの4人が決め、後攻の横浜FMもA・ロペス、水沼、松原、天野が決める。迎えた蔚山の5人目、キム・ミヌのキックをポープが左に飛んでストップ。そして決めれば決勝進出が決定する重要な横浜FMの5人目、エドゥアルドは、高い集中力でど真ん中に蹴り込み、成功してみせた。

 第1戦を落とし、攻めるしかなかった横浜FMは狙い通り得点を重ねたが、退場者を出し、最後は守り抜く戦いを強いられた。こうした状況の変化に対応し、戦いきったことが決勝進出につながったのだろう。横浜FMは現行のフォーマットになってから初めて、ACL決勝へ駒を進めた。

 決勝第1戦は5月11日(第2戦は5月25日)。西地区を勝ち上がったアルアインとホーム・アンド・アウェーで対戦する。

 
【横浜FM】ポープが止めた! 大苦戦の末のPKストップは「自分を信じて決めた方に思い切り跳ぼうと」 – サッカーマガジンWEB

— 「マリノスファミリー全員でつかみ取った勝利」

 4人ずつが成功して、5人目でPKスポットに立つのは蔚山のキム・ミヌ。ゴールに立つのは横浜F・マリノスのGKポープ・ウィリアム。

 長い助走から、キムが左足で向かって右を狙った。ポープ・ウィリアムはそのコースが分かっていたかのように左に跳んだ。止めた!

「体が(疲労で)ギリギリだったので、駆け引きではなく自分を信じて、決めた方向に思い切り跳ぼうと、それだけですね」

 アウェーの第1戦は0-1で惜敗。第2戦となったこの試合では、植中朝日が13分と早々に決めれば、21分にはアンデルソン・ロペス、30分にも再び植中が決めて、一気に逆転、そして突き放すことに成功した。余裕すら漂っていた。

 ところが、なぜか暗転していく。35分にマテウス・サレス、42分にダリヤン・ボヤニッチにゴールを割られ、2試合合計で3-3に追いつかれてしまった。勢いをすっかり相手に持っていかれた。しかも、39分には上島拓巳が退場処分。

 ここから、長い長い戦いが始まる。まさにポープ・ウィリアムの時間だった。120分を通して、飛んできたシュートは40本、そのうち枠内が15本。強い雨が降る、GKにとっては最悪のコンディションだったが、止めて止めて、また止めた。

「早い時間に自分のチームで退場してしまって、本当に耐えるという、もう本当にそれだけというか。自分のところでなんとかそれ以上、失点しないことを意識していました」

 なんとか粘り続けてタイスコアを維持して、PK戦へ。5人目のキム・ミヌを止めたあと、横浜FMはエドゥアルドが確実に決めて、蔚山を振り切った。クラブ初の決勝進出だ。

「チームのみんなも本当にハードワークしてくれて、僕だけじゃなくて本当に全員の力で、サポーターの皆さんの力も含めて、本当にマリノスファミリー全員でつかみ取った勝利だと思います」

 決勝はホーム・アンド・アウェー方式で行われ、まずは5月11日、横浜国際総合競技場で第1戦が行われる。第2戦は5月25日のアウェーゲーム。相手は、UAEのアルアイン。

「ここまで来たら、マリノスがこれまでまだ取っていないタイトルで、僕自身も初めてですし、このクラブのために自分の力を発揮できるように、もう一度いい準備をしたい」

 ファイナルでもその頼もしいセーブを見せて、輝くカップをつかみ取る。

 
 

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横浜FM上島拓巳がACL準決勝で前半一発レッド…来季新ルールならイエロー軽減も今季は“三重罰”処分に | ゲキサカ

 横浜F・マリノスにアクシデントが発生した。24日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第2戦・蔚山現代戦の前半、3点を先取しながらも1失点を喫して2戦合計3-2とされると、DF上島拓巳がハンドの反則でPKを献上して一発退場に。このPKを決められて2戦合計タイスコアになると同時に、残り時間を数的不利で戦うことになった。

 前半39分、蔚山現代がカウンターを仕掛けるとFWオム・ウォンサンがペナルティーエリア内に侵入。上島がスライディングで対応を試みるも、相手にかわされてしまう。すると横に伸びた右腕がボールに当たった。この腕はいわゆる支え手には当たらず、不自然に体を大きくしたとしてアリレザ・ファガニ主審はハンドの反則と判断し、蔚山現代にPKを与えた。

 上島がハンドの反則をした際、横浜FMにカバーできるフィールドプレーヤーはおらず、反則がなければオム・ウォンサンがGKポープ・ウィリアムと1対1になる状況だった。したがって決定的な得点機会の阻止(DOGSO)となり、ハンドの反則には懲戒罰の軽減ルールが適用されないため、レッドカードに相当。上島は一発退場となった。

 もっとも来季から適用される2024-25競技規則では、PKを与えるハンドの反則についても、新たに懲戒罰の軽減ルールを設けることになっている。意図的なハンドの反則は対象外だが、偶発的に当たったものは一段階カードの色が下がる仕組み。したがって今回の事象も新競技規則の適用後であればイエローカードに軽減されたとみられる。

 
10人で奇跡起こした横浜FM、0-1→3-1→3-3大激闘の末にPK戦でクラブ史上初のACL決勝進出!! | ゲキサカ

 AFCチャンピオンズリーグは24日、東地区準決勝第2戦を行い、日本勢で唯一勝ち残っている横浜F・マリノスが蔚山現代(韓国)にPK戦で勝利し、クラブ史上初の決勝進出を決めた。前半30分までにFW植中朝日の2ゴールなどで3点を奪い、初戦のビハインドをひっくり返したが、同35分にセットプレーから1点を返されると、同39分にDF上島拓巳の一発退場に伴うPKで失点。だが、その後は80分間以上を10人で耐え抜き、最後は2戦合計スコア3-3で迎えたPK戦に勝ち切った。

 第1戦を0-1で落とした横浜FMは逆転の望みをかけるホームでの第2戦。左ウイングのFWエウベルが負傷から復帰し、久々にFWアンデルソン・ロペス、FWヤン・マテウスとの3トップが揃った。対する蔚山現代はMF江坂任がベンチに控える中、第1戦と先発1人を変更。MFコ・サンボムに代わってMFマテウス・サレスが入った。[スタメン&布陣]

 試合は2点が必要な横浜FMが立ち上がりから猛攻を仕掛けた。まずは前半7分、GKポープ・ウィリアムのパントキックにエウベルが抜け出し、鋭いクロスボールをロペスに通す。これは濡れたピッチの影響かうまく収まらなかったが、同9分にはヤン・マテウスのボール奪取からパスをつなぎ、またもロペスのチャンスにつなげた。

 そうして迎えた前半13分、横浜FMが先に試合を動かした。上島の縦パスを植中が受けて右のヤン・マテウスに預けると、クロスボールからゴール前の混戦を生み出し、そこに植中が猛然と突進。相手のクリアが間に合わないうちにボールをかっさらい、右足でゴールに流し込んだ。これで2戦合計1-1。アウェーゴールの制度はないため、ホームで戦う横浜FMが事実上優位に立った。

 横浜FMはその後も攻め続け、なおも得点を重ねた。まずは前半21分、エウベル、ヤン・マテウスのポジションを崩したパス回しからバイタルエリアを侵攻すると、クサビのパスを受けたロペスが左足一閃。ゴール右隅にグラウンダーのシュートを突き刺し、2試合合計スコアで2-1とひっくり返した。

 さらに横浜FMは前半30分、出足よくインターセプトした畠中がすかさずボールを縦につけると、これをMFナム・テヒがワンタッチでさばき、受けた植中がペナルティアーク付近から右足ミドルシュート。ゴール右上隅に完璧な弾道で突き刺し、2戦合計スコアを2点リードとした。

 まさかのビハインドとなった蔚山現代は前半34分、ボランチのMFイ・ギュソンに代わってMFダリヤン・ボヤニッチを投入。中盤の強度不足を補う。するとそこからはボールを前進できるようになり、同35分には右CKをボヤニッチがゴール前に送り込むと、これをM・サレスがヘディングで決めて1点を返した。

 そうして迎えた前半39分、防戦気味になっていた横浜FMをまさかのアクシデントが襲った。中盤で刈り取れずに蔚山現代のカウンター攻撃を許すと、エリア内で止めに入った上島のスライディングが不発に終わり、FWオム・ウォンサンのドリブルしたボールが手に接触。蔚山にPKが与えられ、上島にはDOGSO(決定的な得点機会の阻止)による一発レッドカードが出された。

 2024-25シーズンからは偶発的なハンドでDOGSOの反則を犯した場合、キッキングなどの反則と同様にイエローカードに軽減される新ルールの導入が予定されているが、ACLは23-24シーズンの規則で実施中のためレッドカードは妥当な判定。不運な形で横浜FMは10人での戦いを強いられる形となり、さらにこのPKをボヤニッチに決められ、2戦合計スコアで3-3とされた。

 10人の横浜FMはその時点での選手交代は行わず、DF松原健と右CB、MF榊原彗悟を右SBに動かして対応。そのまま前半を耐え抜き、後半開始時にナム・テヒとエウベルに代わり、DFエドゥアルドとMF山根陸を投入し、4-3-2のような布陣で勝機をうかがう作戦に出た。

 そうして迎えた後半2分、横浜FMは蔚山現代の猛攻に遭い、左サイドをDFソル・ヨンウに崩されると、マイナス方向への折り返しをボヤニッチに叩き込まれる。だが、そこでVARが介入。ボヤニッチのシュート時点でオフサイドポジションにいたMFグスタフ・ルドウィグソンがGKポープに影響を与えていたとして、オフサイドの判定が下され、命拾いとなった。

 対する横浜FMも攻撃姿勢は失わず、後半18分にはロペスのポストプレーからビッグチャンスを創出。DF永戸勝也のクロスボールにヤン・マテウスが飛び込み、ヘディングシュートでネットを揺らした。だが、ここは副審がオフサイドの判定。双方ともに後半最初の決定機を逃す際どいオフサイドで逃す形となった。

 その後も横浜FMは押し込まれる展開が続いたが、GKポープやDF畠中槙之輔らの守備陣が鬼気迫る奮闘を見せ、ゴールポストに当たるシュートを放たれながらも勝ち越しを許さない。そのまま2戦合計スコア3-3で規定の90分間を終え、10人のまま延長戦に持ち込んだ。

 横浜FMは延長前半2分、DFキム・ヨングォンのミドルシュートが枠内を襲ってくるも、これもGKポープが危なげなくパンチング。同10分にはDFイ・ミョンジェの浮き球スルーパスからFWケルヴィンに抜け出されたが、エドゥアルドが冷静なシュートブロックで立ちはだかった。

 横浜FMは延長前半15分、永戸に代わってMF天野純を投入。古巣の蔚山現代サポーターからはブーイングが送られる中でのフィールドインとなった。そこからは足が止まりつつある蔚山現代に対し、攻める横浜FM。延長後半3分、カウンターからのMF水沼宏太のシュートは左ポストに阻まれたが、直後にも右からのクロスをFW宮市亮がボレーで合わせるなど、惜しいシーンが相次いだ。

 横浜FMは延長後半11分、CKの波状攻撃からMFキム・ミヌゴールに押し込まれたかと思われたが、再びオフサイドで命拾い。同14分にもセットプレーからキム・ミヌに左足ボレーシュートを打たれたが、わずかに右へと外れ、助かった。そのまま規定の120分間が終了。80分間以上を10人で耐え抜いた横浜FMがPK戦に持ち込んだ。

 PK戦は横浜FMのサポーターが陣取るゴール前で行われた。蔚山現代は1人目から成功が続く中、横浜FMもロペス、水沼、松原、天野が決め、勝敗が分かれたのは5人目。先攻の蔚山現代キム・ミヌのキックをポープがセーブすると、後攻でエドゥアルドが決め、横浜FMの勝利が決まった。

 決勝はアルアイン(UAE)との対戦。5月11日にホームで第1戦、25日にアウェーで第2戦が行われる。

(取材・文 竹内達也)

 
“J2のベンチ”からACL決勝進出の立役者に…横浜FMの歴史を変えたGKポープ・ウィリアム「自分で切り拓くのがサッカー選手の人生」 | ゲキサカ

 ゴール裏の大歓声が42番の背中に熱く向けられる中、万感の思いで繰り出した横っ飛びが横浜F・マリノスの歴史を切り拓いた。

 GKポープ・ウィリアムは両チーム成功が続いたPK戦の5人目、元JリーガーMFキム・ミヌのシュートに完璧なパンチングで反応。「ギリギリまで我慢して、自分を信じて、方向を決めて飛ぶだけ。意外にシンプル」。これが両軍キッカーに唯一土をつけるセーブとなり、29歳の守護神がクラブ史上初のACL決勝に導く立役者となった。

 データ勝負の要素が強いPK戦だが、ポープは事前のスカウティングよりも、自分の信念で勝ちにいっていた。

 松永成立GKコーチからはキッカーのデータを記した紙を受け取っていたというが、試合中のPKでは変化をつけられていたこともあり、「最後はデータよりも自分を信じてやります」と宣言。古巣対戦のMF天野純からも情報は入れ、FWマルティン・アーダームにはデータを活かした駆け引きを見せつつも、最後は自らの決断でキッカーと向き合った。

 そんな信念は止めた5本目だけでなく、止められなかった4本目との対峙でも実を結びかけていた。

 MFイ・チョンヨンはど真ん中のコースに蹴ってきたが、これは「最近トレンドみたいになっているので、どこかで一人は蹴ってくるだろうなと」予測していたもの。結果的には勢いのあるボールに手が滑ってしまい、「もったいなかった」と悔やむ形になったものの、微動だにせず立ちはだかる姿は、5本目の駆け引きを優位に運ぶのに十分な雰囲気を纏っていた。

 またこの日のポープの働きはPK戦だけでなく、展開が目まぐるしく入れ替わる120分間でも際立っていた。データサイト『Sofascore』によると、この一戦を通じたセーブ数は13。エリア内からのシュートを9本も止めており、独自レーティングでは2失点を喫したGKとして異例と言える「10点満点」を叩き出した。

 ポープ自身は「ありきたりだけど、来たシュートを止めることしか僕はできないので」と冷静に振り返り、「最後の最後まで粘り強く戦ってくれるチームメートに対し、誠心誠意やらなければならないという気持ちになっていた。頼もしかった」と同僚を称えた。だが、そこで事もなさげに口にした「日頃の積み重ねが本当にこの試合で出たと思う」という言葉からは大きな重みを感じさせていた。

 ポープの言う積み重ねの裏には、決して順風満帆ではないキャリアの経験もあった。

 2013年に東京ヴェルディユースからトップチームに昇格し、プロ12年目の今季は優勝候補の横浜FMで守護神に君臨しているポープだが、初めてJリーグでコンスタントに出場機会を掴んだのは川崎フロンターレからファジアーノ岡山に期限付き移籍した2020年。プロ8年目のことだった。

 また翌21年には完全移籍先の大分トリニータで初のJ1レギュラーを経験したが、年間を通してはわずか14試合の出場。翌22年からはJ2のFC町田ゼルビアに移籍し、昨季は31試合出場でJ1昇格に大きく貢献したものの、終盤は正GKの座を奪われる形で出場機会が激減しており、横浜FMへの移籍も他のGKの動向を受けてのものだった。

 それでも過去のキャリアよりも結果がモノを言うのがプロの世界。29歳の苦労人はACL準決勝というクラブ史上初の大舞台で、積み上げてきたものをこれ以上ない形で発揮してみせた。

「昨年の最後はJ2のベンチだった。苦しい時期もあったけど、でもその中でも自分を信じて、やり続けることでどんどん道は開いていくもの。自分で強い気持ちを持って、自分で切り拓いていくのがサッカー選手の人生。GKは4人いても1人しか試合に出られない。その中でもどれだけ自分を信じられるのか、どれだけ日々を大切に過ごしていけるのかがGKは大切。(19年に)川崎Fを出てから、(川崎Fで)本物のレベルを知れて、そこに追いつきたいとか、追い越したいとか、本当にその気持ちを持って、ここ5年くらいですかね。本当に毎日、地道にやってきた。そういったことがこの舞台につながってきたことが自分自身、感慨深いです」

 苦難もあったキャリアの記憶は、運命を分けるPK戦の最中にも頭をよぎっていたという。「今日のPK戦の中でもいろんなことを思い返しながら、あのPKを迎えることができた。悔しい思いだったり、つらい時期を乗り越えてきた自分自身のことだったり、そういうことが本当にパワーになった。今まで、頑張ってきて良かったなと思いますね」。延長PK戦を終えた深夜のミックスゾーンで、数多くの報道陣に囲まれながら静かに感慨をにじませた。

 もっともその一方、疲弊した苦闘を振り返る際には、揺るがぬプロ意識も垣間見せていた。ポープは終盤、プレーが切れたタイミングで足をつった仕草を見せており、濡れたピッチでハイジャンプを繰り出し続けた奮闘の跡を感じさせたが、この状況については「チームに迷惑をかけてしまった」と厳しく口にした。

「両足がつっていて、PKまで耐え切ればなんとかなるなという認識だった。でもそれは結構危ないというか、プレーに支障が出るくらいにゴールキックも全然飛ばなかったし、それでチームに迷惑をかけたと思う。こういうことはGKとして良くないことだし、僕の中では本当にあってはいけないことだと思っている。まだまだそういった準備とか、日々の過ごし方に改善できる部分があると思う。最後の砦が弱さを見せることは良くないことだと思っているので、改善しないといけない」。自身の活躍で勝利に導いた試合後であっても、妥協は許さなかった。

 こうした地道な姿勢はJ2で苦労が続いた日々の中でも、目の前にアジア決勝の舞台を控える立場になっても、変えるつもりはない。「(ACL決勝は)本当に大きな大会で、これを取るか取らないかでクラブの今後も変わってくる。でもそのプレッシャーを楽しみながら、どの試合も優劣をつけずに自分自身やってきたつもりなので、大きな大会だからといって特別なことをするわけでもなく、今まで積み重ねてきたことを愚直にやり続けるだけだと思っている」。アジア決勝の第1戦は5月11日。まずは先を見すぎることなく、中2日に迫るJ1次節・C大阪戦に向けての準備を進めていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

 
U-23代表落選に「落ち込む暇もなかった」横浜FM植中朝日、ACL準決勝で鮮烈2ゴール「アジア中に自分の名前を広めたい」 | ゲキサカ

 歴史的で壮絶なACL決勝進出劇を演じた横浜F・マリノスだったが、全てのドラマはこの男から始まった。MF植中朝日は前半13分、果敢な動き直しから相手ボールを刈り取って先制点を奪うと、同30分には鮮やかなミドルシュートで追加点を獲得。0-1で敗れた第1戦のビハインドを爽快に跳ね返す大活躍で、前半の猛攻を牽引した。

 まずは前半13分、味方のパス交換が相手DFに阻まれたが、その混戦に抜け目なく飛び込んでいった。「相手DFのもたつきがあって、自分的には常にそういうところを狙っているのでラッキーだなと」。ボールを奪った勢いのままGKの脇下にシュート。インサイドハーフ起用が続く中、本職FWとして「2列目からの飛び出しは狙っている」という個性も活きた先制点だった。

 植中にとっては、ACL10試合目で待望の初ゴールとなった。「ずっとACLでもゴールを取りたいと思っていた中、本当にいいチーム相手で、GKも韓国代表の選手(チョ・ヒョヌ)だし、そこでしっかりゴール決めたのは自信につながった」。するとこの勢いに乗ったメンタリティーのまま、前半のうちにもう一度結果を出した。

 今度は2-0で迎えた前半30分、MFナム・テヒからのワンタッチパスを中盤で受けると、相手を豪快なターンでかわし、ペナルティアークから右足を振り抜いた。「自分の後ろに相手がいるのもわかった上でターンできると思って、ターンした時にはもう打とうと思った」。鋭く回転したシュートはゴール右上隅にズドン。完璧なコースには「できすぎました」と笑ったが、イメージはしっかり描かれていた。

 普段はあの場面でシュート選択はしていないが、「今日の俺なら行けるんじゃないかという自信があった」という植中。「置き位置も完璧ではなかったけど、置き位置的にニアで巻けるかなと思った。あんまりああいうシュートは打ったことないけど、とりあえず入ってよかった」。最後は「僕のあんなゴールもう見られないかもしれない」と苦笑いを浮かべつつも、「でも、ああやって決まったのでまた自信を持って打っていこうと思う」と再現にも意欲を示した。

 そのまま終わればクラブ史上初の決勝進出に導く立役者となるはずだったが、チームはここからまさかの窮地に陥った。前半35分にセットプレーから1点を返されると、同39分にDF上島拓巳が一発退場となり、そこで与えたPKで失点。2戦合計スコア3-3と追いつかれた。

 その後は再び守備の強度を取り戻したが、植中は後半17分に途中交代。数的不利のPK戦で奇跡的な勝利を得たが、植中が輝くはずだった主役はGKポープ・ウィリアムら守備陣に譲る形となった。

 それでも試合後、植中は「120分間とPKを頑張ってくれたチームメートに感謝」と気丈に振る舞いつつ、5月に迫る決勝に向けて「自分の価値を高められるチャンス。また決勝もゴールを決めて、アジア中にまずは自分の名前を広めたい」と明るく意気込んでいた。

 さらにアジア王者に与えられるクラブW杯出場権にも視野を向けつつ、「ずっとテレビで見ていたような舞台だし、ヨーロッパのチームが出たり大陸のチャンピオンが集まるので、出たい気持ちはより高まった。何が何でも決勝は勝ちたい」と闘志をアピール。アジアトップレベルの舞台に立つ経験に充実感をにじませていた。

 もっともこうした植中の存在は、別の場所で戦っている同世代にも大きな刺激になりそうだ。植中も招集された経験のあるU-23日本代表は現在、パリ五輪最終予選を兼ねるAFC U23アジア杯で奮闘中。グループリーグを2位で終え、カタールとの準々決勝、そしてその先のパリ五輪出場決定戦にあたる準決勝を控える状況だ。

 この日、植中は「代表チームの選手とも何人か連絡を取ったりしていて、向こうの情報も入ってくる」と笑みを見せつつ、「(0-1で敗れた)韓国戦も見たりはしていて、日本のチームが韓国に2回負けるわけにはいかないと思っていた。代表チームとクラブチームの違いはあるけど、自分も代表選手たちに負けてはいられない。こういう結果が出せてよかった」と彼らと刺激を与え合っていることを明かした。

 そんな植中自身は3月の代表活動には参加しており、今回は当落線上で選ばれなかった立場。それでも「代表もマリノスも本当に大事な試合が待っていたし、落ち込む暇もなかった」ときっぱり。巡ってきたACLのチャンスを活かしたことで「気持ちを晴らすゴールが取れたことで感覚的なものも楽になった。リーグ戦にもいい影響を出せれば」と良い循環を生み出すことができているようだ。

 もっとも、大舞台への夢はまだまだ諦めていない。「こっちのチームで示していくことで、五輪に通過してくれれば代表に入れるチャンスはあるんじゃないかと思っている。そういうことも見越してこっちのチームで活躍していきたい」。ACL決勝は五輪選考レース中の5月11日・25日。アジアの頂点に導く活躍ができれば、世界への道筋はいくつも開けるはずだ。

(取材・文 竹内達也)

 
PK成功後は後続を支え、雨中の大歓声をさらに煽った横浜FM水沼宏太「鳥肌立つくらい良かった」 | ゲキサカ

 16098人という数字以上に熱量あふれた日産スタジアムをさらに盛り立てた。横浜F・マリノスMF水沼宏太はACL準決勝の後半36分から途中出場し、10人で戦うチームにエネルギーを加えると、PK戦では2人目のキッカーとして見事に成功。その後は雨の中で声を上げるサポーターを煽り続け、ホームでの歴史的勝利をもたらした。

 横浜FMのキッカーはコーチ陣の指名制。「蹴るというのは分かっていた」という水沼に託されたのはFWアンデルソン・ロペスに次ぐ2番目だった。

「ロペの次に蹴ることがわかってから、思ったよりは冷静に行けた」。長い助走からペナルティスポットに走ると、相手GKの逆を突く右のコースにズドン。ゴールネットが揺れると、その場で豪快なガッツポーズを見せ、会場を沸かせていた。

 その後は「とにかく自分が決めたから、あとは託すしかない。(チームメートに)大丈夫だよとずっと言い続けていた」と苦笑い気味に振り返った水沼だが、そこで同時に目を引いたのはサポーターの歓声に合わせるようにスタンドに向かって煽る姿だった。水沼はその理由を次のように語った。

「PKを決めた時はただ嬉しかったから叫んだのもあるけど、ポープ(・ウィリアム)が守る時にこっちから見ていたゴール裏の雰囲気がめちゃくちゃ鳥肌立つくらい良かった。ロペが蹴って、次かな。これは絶対に(相手にとって)プレッシャーになるなと思ったので、とにかくみんなに一緒に戦ってくれって。それを感じてもらえるようにやりました」

 そんな思いは勝利決定後にも表れ、すぐにサポーターの元に走っていってガッツポーズ。「みんなで戦えたと思った。自分たちがとにかく決勝に行くんだという強い気持ちを持っていたし、平日にもかかわらず、さらに雨にもかかわらず来てくれた人たちは一緒に決勝に行きたい気持ちを持ってきてくれたと思うので、一緒の思いでやれた。それがあの行動につながったと思う」。ミックスゾーンでは声を枯らした様子で、サポーターと共に掴んだ決勝への切符を誇っていた。

 それでも決勝に目を向けると、感傷に浸ることなく気を引き締めていた。「やっとここまで来られたというのはあるけど、決勝まで行って負けてしまえば、今日負けたのと同じだと思う。優勝しなければ何も残らない。本当にそこだけ」。J1リーグ、ルヴァン杯、天皇杯の優勝経験を持つ水沼にとって、アジア制覇は「そこだけ取れていないので、めちゃくちゃ欲しいタイトル」。クラブ史上初の栄誉に向けて「ACLのタイトルはすごく大きいものがある」と力を込めた。

 もっとも中2日で次節・C大阪戦を控えるリーグ戦のタイトルレースも軽んじるつもりはない。「リーグ戦も中2日であっておそろかにできないし、とにかく来る試合、来る試合、自分たちが最高の準備をしたい」。ACL決勝進出でまだまだ過密日程は続くが、それは強者の宿命。「これだけ試合があって過密だと言われるかもしれないけど、これだけできるのは強いチームだけ。それを喜びに感じて、幸せに感じて、感謝の気持ちを持ってやっていきたい」と決意を語った。

(取材・文 竹内達也)

 
”因縁の古巣戦”PK成功も重圧あった横浜FM天野純「ゴールの距離がマジで遠く感じてヤバいなと…」 | ゲキサカ

 因縁の古巣・蔚山現代との緊迫したPK戦、横浜F・マリノスMF天野純は4人目のキッカーとして勇敢にペナルティスポットに立ち、間近で凄みを味わってきた韓国代表GKチョ・ヒョヌからゴールを奪った。

 試合後、天野はPKを蹴る前の感情を率直に明かした。「(GKチョ・)ヒョヌのストップの能力も知っているし、蔚山のPK練習でも結構止められていたので嫌だった。PKマークからゴールの距離がマジで遠く感じて、ヤバいなと思ったけど、決められて良かった」。キッカーは大島秀夫コーチの指名。託された大役をまっとうし、感情を爆発させた。

 蔚山現代は2022年に横浜FMからの期限付き移籍で所属した古巣。ただ、翌23年は宿敵の全北現代に期限付き移籍したことで、蔚山サポーターからは猛烈なライバル視を受けており、アウェーでの第1戦から激しいブーイングが向けられていた。

 そんな天野はPKを成功させた後、横浜FMサポーターを煽り、ブーイングを完全にかき消す大歓声を誘発。その結果として続くMFキム・ミヌのキックをGKポープ・ウィリアムがストップするのにつながり、チームの勝利を大きく手繰り寄せる形となった。

「いろんな問題があったチームだし、ブーイングがアウェーでもすごかったけど、逆に愛されている証拠だなと実感している。そういった相手に対し、去年は全北にいて1回も勝てなかったので、勝ちたい気持ちが大きかった。これだけのサポーターが来てくれて、雰囲気がすごかったし、なんとしても彼らに笑顔で家に帰ってほしかった」(天野)

 この試合の位置付けを振り返った天野は「何がなんでも勝ちたくて、人生で一番勝ちたいくらいの気持ちで、スタートじゃなかったけどスタートの選手と同じくらいの気持ちでやっていた。こうやって勝てて幸せ」と喜びを表現。「相当エモーショナルな試合だったし、このスタジアムが作り上げた雰囲気が本当に勝利につながったなと感じた」とサポーターに感謝した。

(取材・文 竹内達也)

 
PK戦目前でロペスに予言していた横浜FMエドゥアルド「俺の前にポープが止めて、俺が絶対に決めるからと…」 | ゲキサカ

 両チームのキッカーが次々に成功させ、緊迫した展開が続いたPK戦は5人目で決着がついた。先攻の蔚山現代MFキム・ミヌのキックを横浜F・マリノスの守護神GKポープ・ウィリアムがセーブすると、続いて登場したDFエドゥアルドがシュートを沈めて勝負あり。実はこの筋書き、エドゥアルドが予言していたとおりだったという。

 試合後、ミックスゾーンに姿を見せたエドゥアルドは自身のキックについて「試合の前からどういう形か分からないが、決勝に行ける自信を持っていた。だから自分も蹴りに行った瞬間、試合前からの自信を持って、慌てずに落ち着いて蹴りに行けた」と冷静に振り返りつつ、PK戦前のエピソードを次のように明かした。

「順番を決める時、(1人目のアンデルソン・)ロペスにも『俺の前にポープが止めて、俺が絶対に決めるから』と言っていたんだ」

 キッカーの順番はコーチ陣の指名で決定。試合中のPKキッカーを務めるFWアンデルソン・ロペスが最も大事な1人目を担い、続いて重要な5人目がエドゥアルドに託された。エドゥアルド自身は「これまでPK戦は3回やって3回決めているけど、決して得意ではない」と謙遜するが、ピッチが濡れた中でもパワフルなシュートを蹴り込む姿には安心感が漂っていた。

 エドゥアルドはこの日、退場者を出して1人少なくなった後半開始から出場。10人で80分間以上を耐え抜いた守備でも大きな貢献を見せた。「決勝に行ける自信を持っていたのでそれが結果につながった」。そう手応えを口にしたエドゥアルドは勝利の要因について「神様のおかげかな。あとポープね」と笑顔で守護神の名前を挙げ、称賛を送っていた。

(取材・文 竹内達也)

 
 

Goal.com

横浜FM、雨中の死闘制し初のアジア制覇に王手! PK戦の末に蔚山撃破でアル・アインとのファイナルへ! | Goal.com 日本

横浜F・マリノスは24日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第2戦で蔚山現代FC(韓国)と対戦し、3-2で終了。この結果、2戦合計スコア3-3となり、PK戦の末に5-4で勝利した横浜FMが決勝進出を決めた。

17日に敵地で行われた第1戦を0-1で敗れた横浜FM。クラブ初の決勝進出に向けて、本拠地・横浜国際総合競技場に蔚山を迎えた。

90分でファイナルに進むためには2点差以上の勝利が必要なゲーム。試合は序盤からホームの横浜FMが攻勢に出る。4分、松原健の浮き球のパスに抜け出したヤン・マテウスがボックス右からカットインシュート。これはわずかにゴール左外へ。8分にもヤン・マテウスのクロスからゴールを脅かすなど、蔚山を攻め立てる。

すると13分に先制点。ヤン・マテウスがボックス右手前から中央へパスを送る。アンデルソン・ロペスのスルーに反応したナム・テヒはうまく収められなかったものの、ボックス右に流れたボールを植中朝日がいち早く反応。右足で放ったシュートはGKチョ・ヒョヌの足に当たったものの、ボールはそのままゴールネットを揺らした。

悲願に向けて幸先よく先制した横浜FMは16分に榊原彗悟、19分に永戸勝也が惜しいミドルシュートを放つなど、追加点を狙う。迎えた21分、ボックス手前でエウベル、ヤン・マテウスとつなぐと最後はアンデルソン・ロペスが左足を振りぬく。これがゴール右隅に突き刺さった。

2戦合計スコアを2-1とし、逆転に成功した横浜FMだが、攻撃の手を緩めない。30分、相手の縦パスをカットした流れからボールはナム・テヒから敵陣中央の植中へ。そのままボックス手前まで持ち運ぶと、右足で巻いたシュートを放つ。目の前の相手DFが死角になったか。名手GKチョ・ヒョヌは一歩も動かず。インサイド回転のかかったボールはゴール右隅に吸い込まれた。

リードを広げた横浜FMだが、ここから蔚山の猛反撃を受ける。35分、イ・ドンギョンからの右CKをニアサイドでマテウス・サレスに頭で合わせられる。これがGKポープ・ウィリアムの上を通過し、1点を返された。

さらに39分、34分に投入されたダリヤン・ボヤニッチがスルーパス。オム・ウォンサンに抜け出され、ボックス右への侵入を許す。追いついた上島拓巳がスライディングでの対応を試みると、切り替えしが支え手として残していた右手にボールが当たってハンドの判定でPKを献上。さらにこのプレーにレッドカードが提示された。

PKはダリヤン・ボヤニッチに逆を突かれて、2戦合計スコアを3-3のイーブンに。さらに横浜FMは数的不利という苦しい状況に置かれた。

その後は押し込んでいた状況が一変し、蔚山ペースに。それでもなんとか耐え凌ぎ、3-2(2戦合計:3-3)で試合を折り返した。

1人少ない横浜FMは後半開始からエウベルとナムテヒに代えて、エドゥアルドと山根を投入してバランスを整える。しかし、開始直後にピンチが。47分、ボックス右に侵攻したソル・ヨンウの2度の切り返しに翻弄されると、最後は落としたボールをダリヤン・ボヤニッチに右足で合わせられる。これがGKポープ・ウィリアムの足元を通過してゴールへ。ところが、VARの判定により、GKポープ・ウィリアムの視界にいたグスタフ・ルドウィグソンがオフサイドポジションにいたとし、ゴールは取り消された。

命拾いをした横浜FMだが、その後も押し込まれる展開に。それでも攻撃のチャンスを窺っていると63分にはアンデルソン・ロペスのパスを受けた永戸勝也が左サイドからファーサイドにクロスを供給。これをヤン・マテウスが頭で流し込むも、わずかに最終ラインから体が出ていたとし、オフサイドの判定が下される。

後半半ばに差し掛かると蔚山にボール保持を許し、横浜FMは我慢の時間帯が続く構図。終盤に入ると、蔚山が激しく攻め入る。85分には敵陣中央でボールを持ったマルティン・アーダームが強烈なミドルシュート。87分には細かなパスワークからボックス左に侵攻したグスタフ・ルドウィグソンがゴール前にグラウンダーのクロスを送る。これをキム・ミヌに合わせられるも、左ポストに直撃した。その後も横浜FMはクロスを多用する相手に押し込まれ続けたが、体を張って死守。90分では決着がつかず、試合は延長戦に突入した。

延長開始からキム・ヨングォンの強烈なミドルシュート、イ・チョンヨンの枠をわずかに逸れるヘディングシュートを受けるなど、依然として押し込まれる展開が続く横浜FM。カウンターから敵陣に侵攻し、1点をもぎ取ろうとするが、チャンスらしいチャンスは作れず。

それでも延長後半に入ると、横浜FMにチャンス。108分、左サイドの敵陣深い位置で天野純が相手からボールを奪うと、すかさずボックス内へパスを送る。これ受けた水沼が右足を振り抜き、ボールはゴール左隅を捉える。しかしGKチョ・ヒョヌのファインセーブに阻まれた。

少ないチャンスをモノにできなかった横浜FMは114分、蔚山に粘り強くボックス内に攻め込まれると、最後はケルヴィンがボックス左から右足シュート。しかし、わずかにGKポープ・ウィリアムが触ると、左ポストに当たってボールは外に外れた。116分には左CKからイ・ミョンジェがシュート。これをキム・ヨングォンが触ってコースを変えると、GKポープ・ウィリアムが弾くも、キム・ミヌにプッシュされた。ついに失点かと思われるも、キム・ミヌがオフサイド。横浜FMがギリギリのところで耐え抜き続ける。

GKポープ・ウィリアムが足をつるほどの死闘。それでも120分耐え凌ぎ、勝負の行方はPK戦に委ねられることになった。

ホーム側のゴールで行われたPK戦は横浜FMサポーターが後押しする中、蔚山5人目のキム・ミヌがゴール右下を狙ったシュートをGKポープ・ウィリアムがストップ。対する横浜FMは、エドゥアルドが決めて試合終了。死闘を制した横浜FMが初の決勝進出を決めた。

もう1つの西地区準決勝ではアル・アイン(UAE)とアル・ヒラル(サウジアラビア)が対戦し、2戦合計5-4で勝利したアル・アインが2016年大会以来7大会ぶりの決勝進出を決めている。

横浜FMは初のアジア制覇をかけて、エルナン・クレスポ監督率いるアル・アインとファイナルを戦う。決勝戦は5月11日(土)に第1戦、5月25日(土)に第2戦が行われる。

 
足をつりながらも好守連発&PKストップ! 横浜FMのGKポープ・ウィリアム「本当にやばいっす(笑)」 | Goal.com 日本

横浜F・マリノスのGKポープ・ウィリアムが、蔚山現代FCとの一戦を振り返った。

横浜FMは24日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第2戦で蔚山現代FC(韓国)と対戦。アウェイで行われた第1戦を0-1で落とした横浜FMは初のアジア制覇に向けて、序盤から攻勢に出ると、植中朝日、アンデルソン・ロペスが立て続けに決めて、2戦合計スコア2-1と逆転に成功する。

その後、植中がもう1点を加点した直後、蔚山の反撃を受け、セットプレーから1点を返されると、ボックス内でハンドをとられた上島拓巳が一発退場に。さらにはこのプレーで与えたPKも決められてしまい、2戦合計3-3とイーブンに戻されたことに加えて数的不利と苦しい状況に。何度も危険な場面を迎えながらも、GKポープ・ウィリアムを中心とした体を張った守備で、120分間の蔚山の猛攻に耐え抜き、PK戦へ。蔚山の5人目のPKをGKポープ・ウィリアムがストップすると、横浜FMは5人全員が成功。PK戦の末に勝利した横浜FMが初の決勝進出を決めている。

試合後、勝利の立役者となったGKポープ・ウィリアムは、「本当にホッとしています」と安堵。最後のPKストップに関しては、「身体がギリギリだったので、駆け引きではなく自分を信じて、決めた方向に思い切り飛ぼうと。それだけです」と振り返った。

2戦合計スコアで一時逆転し、2点リードを奪った好調な出だしから一転、数的不利の苦しいゲームとなったことについて、「早い時間に1人退場してしまって、耐えるというだけ。自分のところであれ以上は失点しないようにというのは意識していました」とコメント。「チームのみんなも本当にハードワークをしてくれて、僕だけでなく本当に全員の力で、サポーターの皆さんの力も含めて、マリノスファミリー全員で掴み取った勝利だと思います」と勝利を嚙み締めた。

決勝進出を決めた横浜FMは、初のアジア制覇をかけて、エルナン・クレスポ監督率いるアル・アインとファイナルを戦う。決勝戦は5月11日(土)に第1戦、5月25日(土)に第2戦が行われる。

「ここまで来たら、マリノスがまだとっていないタイトルなので、僕自身も初めてですし、このクラブのために自分自身の力を発揮できるように、ここからもう一度準備したいと思います」

Jリーグ公式記録では被シュート数42本。延長戦後半には、足をつりながらもマリノスゴールを守り続けたGKポープ・ウィリアム。「本当にやばいっす」と笑みをこぼしながら、インタビューを締めくくった。

 
 

フットボールチャンネル

「本物のレベルに…」横浜F・マリノス、ポープ・ウィリアムにとって特別な120分。脳裏に浮かんだ「自分の軌跡」【コラム】

— 横浜F・マリノスの歴史が変わった

 歴史が変わる瞬間を、横浜F・マリノスの守護神、ポープ・ウィリアムは見ていなかった。いや、見ていられなかった。天国と地獄とを分け隔てる運命のPK戦。後蹴りのマリノスの5番手キッカー、DFエドゥアルドが助走に入る直前で、ポープは両手で自らの視界を遮ってしまった。

 両足が限界に近づいていた状況が、まるで神頼みのようなポーズをポープに取られたのだろうか。それでも、エドゥアルドが蹴り終わるまで貫かれた沈黙から一変した、耳をつんざくような大歓声がマリノスのクラブ史上初のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝進出決定を教えてくれた。

 次の瞬間、つりかけていた両足を忘れたかのように、ポープはマリノスのサポーターで埋め尽くされたゴール裏のスタンドへ向かって、エドゥアルドよりも先に疾走していった。

「本当に苦しい展開のなかで、ファン・サポーターの方々も選手を後押ししようと声を切らさず、ずっと応援し続けてくれていたのは僕自身、ピッチに立ちながら感じていました。疲れ果てているフィールドプレイヤーにとっても、ものすごく心強いサポートだったんじゃないかなと思ったので」

 韓国Kリーグ1を連覇中の強豪、蔚山現代をホームの横浜国際総合競技場に迎えた24日の準決勝セカンドレグ。2戦合計スコアが3-3のまま、延長戦を含めて120分間に及ぶ死闘の末に突入したPK戦で、エドゥアルドが決めればマリノスが勝利する状況を手繰り寄せたのはポープだった。

 両チームの4人ずつがすべて成功させて迎えた5人目。J1のサガン鳥栖でも活躍したMFキム・ミヌの一撃を左へ飛んで完璧にセーブ。何度も雄叫びをあげ、そしてガッツポーズを作った。

「本当に(相手が蹴る)ギリギリまで我慢して、あとは自分が決めた方向へ飛ぶだけでした。意外にシンプルというか、駆け引きというよりも、自分を信じてやるだけでした」

 直前の4人目では、サポーターの歓声がため息に変わっていた。MFイ・チョンヨンが放った真ん中への強烈な一撃を、まるで予測していたかのように微動だにせず反応した。しかし、球威が勝っていたからか。両手を弾いたボールはゴールに吸い込まれ、ポープはその場に突っ伏してしまった。

— 1人退場。放たれたシュート数はなんと…

「どこかで一人は(真ん中に)蹴ってくるだろうな、と。最近のトレンドみたいになっているし、誰が蹴ってくるのかは僕自身の判断で決めたなかで、止めたという感覚はあったんですけど。(予測通りで)ちょっと拍子抜けしたというか、ボールが少し速かったのもあって……ちょっともったいなかったですね」

 17日に敵地で行われたファーストレグで、マリノスは0-1と苦杯をなめた。あいにくの雨が降りしきる状況で迎えたセカンドレグでは、一転して13分にMF植中朝日が先制ゴールをゲット。21分にFWアンデルソン・ロペスが、30分には再び植中がゴールネットを揺らした。

 しかし、蔚山も36分に右CKから1点を返す。さらに3分後にはカウンターから抜け出したFWオム・ウォンサンが最終ラインの背後に抜け出し、ペナルティーエリア内の右で中央へ切り返す。次の瞬間、ボールは必死に追走し、スライディングで止めようとしたDF上島拓巳の右腕に当たってしまった。

 イランのアリレザ・ファガニ主審は、上島のハンドによるPKを宣告。さらに決定的な得点機会を阻止する、いわゆるDOGSOで上島に問答無用のレッドカードを提示した。MFダリヤン・ボヤニッチがポープの逆を突くPKをゴール右へ決めて、あっという間に2戦合計スコアを3-3とした。

 ここからは数的優位に立つ蔚山が主導権を握り続けた。アジアサッカー連盟(AFC)の公式スタッツによれば、延長戦を含めた120分間で蔚山が放ったシュート数は実に40本に到達。そのうちペナルティーエリア内で放たれたものが26本を、ゴールの枠内に飛んだものが15本を数えた。

「もう耐えるだけというか、自分のところで何とかゼロ……あれ以上は失点しないように意識していた」

 文字通りの防戦一方となった展開で、ポープのシュートストップ数は13本を、フィールドプレイヤーによるシュートブロックは9本をそれぞれ数えた。ポープは何よりもまず味方へ感謝した。

— 「最後の砦であるゴールキーパーが弱さを見せるのは…」

「ありきたりの言い方になるけど、僕には飛んで来るシュートを止めるプレーしかできない。自分の守備範囲内に来たシュートは必ず止めようと思っていたなかで、僕の前でハードワークして、常に体を張ってくれる頼もしい仲間たちがいるおかげで僕も気持ちを込めて戦えた。最後の最後まで粘り強く戦ってくれる仲間たちに応えようと、抜けて来るボールに対して集中力を切らさずに反応できた」

 象徴的な場面が延長後半の終了間際だった。ペナルティーエリア内でこぼれ球に反応したMFコ・サンボムが右足を振り抜く。両足がつっていたゲームキャプテンのDF松原健が必死にブロックに飛び込んだが、シュートは松原の足をかすめて、わずかにコースを変えてポープを急襲した。

 次の瞬間、プロ12年目の29歳にして、初めてACLの舞台で戦うポープがとっさに反応。右手一本でボールを弾き返し、2戦合計スコアで勝ち越される大ピンチを救ってPK戦への扉を開けた。

「本当に難しいコースに飛んできたら物理的にも止めるのは難しくなるし、そのなかで自分の可能性を広げる努力を課してきた。日頃の積み重ねといったものを出せたと思っているし、僕だけじゃなくてサポーターのみなさんも含めたマリノスファミリー全員の力でつかみ取った勝利だと思う」

 しかし、シュートストップだけでなく、左右から放たれるクロスへの対応やハイボールの処理など、数的不利の状況で仕事量が激増した代償が巡ってくる。延長後半に入って左足が、さらに右足がつってしまう。ピッチ上で味方に足を伸ばしてもらいながら、ポープはPK戦突入を待ち続けた。

「PK戦まで耐えれば何とかなる、という認識でしたけど、それでもかなり危なかったというか、ゴールキックも飛ばなくなるなど、プレーに支障が出るレベルでチームに迷惑をかけてしまった。最後の砦であるゴールキーパーが弱さを見せるのはよくないというか、あってはならないと僕は思っている。そこは試合への準備の仕方や日々の過ごし方を含めて、まだまだ改善していかなければいけない」

— 「自分がやりたかったフットボールはこれです」

 アメリカ人の父と日本人の母を持つポープは東京都日野市で生まれ育ち、中学校進学とともに東京ヴェルディのジュニアユースに加入。ユースをへて2013年にトップチームへの昇格を果たしたが、10月に30歳になる今シーズンの現段階でJ1リーグでの出場は21試合にとどまっている。

 ヴェルディでは定位置をつかめないまま2016年にJ2のFC岐阜、翌年には川崎フロンターレへ期限付き移籍。2018年には川崎Fへの完全移籍に切り替えるも、J1リーグを連覇した黄金期で公式戦の出場機会を得られず、2019年に大分トリニータ、2020年にはファジアーノ岡山へ期限付き移籍を繰り返した。

 岡山ではリーグ戦40試合に出場したが、2021年に完全移籍で復帰し、再びJ1に挑んだ大分で14試合の出場にとどまった。2022年からはFC町田ゼルビアへ完全移籍。黒田剛監督のもとでJ2リーグ優勝を達成した昨シーズンは開幕から守護神を拝命したが、第32節以降の11試合はリザーブに回った。

「去年も最後の方ではJ2のベンチでしたけど、そういった状況でも自分自身を信じていました。苦しい時期もありましたけど、それでも努力し続けることでどんどん道を切り開いていくというか、強い気持ちを持ちながら自分の力で前へ進んでいくのがサッカー選手の人生だと思っているので」

 昨オフには一森純がガンバ大阪へ復帰し、守護神が不在となったマリノスからオファーが届いた。チームとして主導権を握り続けるチームの最後尾を守りたい、といつしか思い描いてきたポープは、延べ8チーム目となったマリノスを「自分がやりたかったフットボールはこれです」と位置づけている。

 充実感を覚えているポープの視線の先には、ともにマリノスOBで歴史を知る松永成立キーパーコーチ、榎本哲也アシスタントキーパーコーチの存在がある。ポープは開幕後にこう語っていた。

— 「悔しい思いや辛い時期を乗り越えてきた」

「移籍してきてからシゲさん(松永)、哲さん(榎本)のもとで本当にいいトレーニングができている。スタンスや構え方を含めたキーパーの技術的かつ細かい部分を2人から吸収しながら、だからといって無理強いはされずに、バランスをすごく考えながらアプローチしてくれる。そのなかで僕も頭でっかちになりすぎずに、自分のなかでいろいろとかみ砕きながら、日々のトレーニングで手応えを感じてきた。そういった細かい気づきのようなものを常に与えてくれる環境で毎日サッカーができている」

 ほぼ1試合分を10人で戦い、そのまま息詰まるPK戦へと突入した蔚山戦では、プロになってから経験してきた、さまざまな艱難辛苦が走馬灯のように脳裏に浮かんできたとポープは言う。

「本物のレベルに追いつきたい、追い越したいという気持ちでここ3、4年……いや、5年くらいは毎日地道にやってきたし、そういう日々がこの舞台に繋がった、というのは僕自身も感慨深いものがある。今日の試合も自分のなかでいろいろなことを思い返しながら、悔しい思いや辛い時期を乗り越えてきた自分の軌跡といったものがパワーになった。いままで頑張ってきてよかった、というのはありますね」

 雨中の死闘と化した一戦でしたたかさや、あるいはたくましさも見せつけた。たとえば意図的に時間を使った点で、ファガニ主審と虚々実々の駆け引きを繰り広げていたとポープは試合後に明かした。

「もう割り切って、なるべく時間をかけようと。ハードワークをしてくれた分、みんなには息を整える時間が必要だと思ったので、審判にはけっこう注意されましたけど、そこはうまく時間を使いながらやれたら、というのが自分のなかであった。レフェリーの方からはかなり注意されたし、次やったら(イエローカードを)出す、みたいな感じで言われていたけど、そういうなかでも駆け引きをしていました」

 PK戦を前にして、松永コーチから相手キッカーの特徴や癖、蹴る方向の傾向などが記されたメモを手渡された。しかし、ポープは熟慮した末に「自分を信じてやります」とやんわりと断りを入れている。

— 「いろいろな人の思いが積み重なって」たどり着いた決勝

「試合中に決められたPKで、シゲさんに指示された方に飛んだら逆に来たこともあったので、情報はもらいながらもどうしようか、と自分のなかで考えながら、最後はデータよりも、と思いました」

 ACLは今大会から秋春制で行われていて、日本における昨シーズンの後半に行われたグループリーグでは、6試合のうち5試合で一森がマリノスのゴールマウスを守っている。ポープが言う。

「僕自身の出場は決勝トーナメントからになりましたけど、いろいろな人の思いが積み重なってここまで来られているし、そこに対しては本当に感謝しています。この大きな大会(の優勝)を取るか取らないかでクラブの今後も変わってくるし、そういうなかでもプレッシャーを楽しみながら、一方でどの試合に対しても優劣はつけずにやってきたので、大きな大会だからといって特別なことをするわけでもなく、本当にいままで積み重ねてきたことを愚直にやり続けるだけだととらえている」

 ひと足早く準決勝を終えた西地区は、UAE(アラブ首長国連邦)のアル・アインが、3大会連続の決勝進出を目指した強豪アル・ヒラル(サウジアラビア)を2戦合計5-4で撃破している。

 5月11日に横浜国際総合競技場で行われるファーストレグ、そして同25日に敵地で行われるセカンドレグへ。身長192cm体重89kgの巨躯に濃密すぎる下積みとしての経験と、さらに花開く伸びしろとを搭載したポープが、日本勢として4クラブ目のアジア王者へ王手をかけたマリノスを最後尾から支える。

(取材・文:藤江直人)

 
 

サカノワ

雨中の日産スタジアム、壮絶なる死闘。天野純のキックが火を灯し、横浜FMがPK戦で蔚山現代を下し決勝進出 | サカノワ

— 延長戦ポスト2本、オフサイド…窮地を救われ。

 アジアのクラブチームの王者を決めるAFCアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)2023-24準決勝、横浜F・マリノス(日本、J1リーグ)対 蔚山現代FC(韓国、Kリーグ)の第2戦(セカンドレグ)、この試合3-2で横浜FMが勝利を収め、トータルスコア3-3からのPK戦を制して、ファイナル進出を決めた。決勝の対戦相手はアラブ首長国連邦(UAE)のアル・アイン。

 第1戦は蔚山現代が1-0で勝利。この大会はアウェーゴールルールが採用されておらず、横浜FMは2点差以上の勝利で逆転できる(1点差での勝利だと、延長戦、PK戦)。

 雨中の 日産スタジアム、数的不利となった横浜FMは劣勢を強いられるものの、身を挺して闘い続ける。ポープ・ウィリアムは足をつりながらも再三のスーパーセーブを連発。延長戦では蔚山の2本のシュートがポストを叩くものの救われる。

 さらについに均衡が破れたかと思われたシーンも、オフサイドのファウルで救われる。試合は120分間を戦い、この試合は横浜FMが3-2で勝利。2試合トータル3-3で決勝進出の行方はPK戦に委ねられた。マリノスのキッカーは、アンデルソン・ロペス、水沼宏太、松原健、天野純と続く。

 蔚山でプレーした4人目の天野のキック成功で、サポーターのボルテージもヒートアップ。気温が急降下していたスタジアムが再び熱気に包まれる。

 そしてポープが4番手のサガン鳥栖でもプレーしたキム・ミヌのキックをストップ! 最後はエドゥアルドが決めて、PK戦5-4でファイナル進出を決めた。

 決勝はUAEのアル・アインと対戦する。

 
【横浜FM】2ゴールの植中朝日「自分のゴールも勿論嬉しいけど、チームが勝ったことが、それよりも嬉しい」キューウェル監督との”ハットトリック”秘話も明かす | サカノワ

— 「明日3点取れよ」と言われ、「もちろんです」。

 AFCアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)2023-24準決勝の第2戦、 横浜F・マリノス(日本、J1リーグ)が3-2で蔚山現代FC(韓国、Kリーグ)に勝利を収め、トータルスコア3-3からのPK戦を5-4で制して、ファイナル進出を決めた。決勝の対戦相手はアラブ首長国連邦(UAE)のアル・アイン。

 2ゴールを決めた植中朝日は試合後、「自分のゴールももちろん嬉しいですけれど、チームが勝ったことが、それよりも嬉しいです。本当に120分間とPKを必死に頑張ってくれたチームメイトに感謝しています」と喜びを噛み締めた。

 ヒーローは間違いなく植中になるはず、だった。先制展は素早く背後を突き、相手DFの連係ミスを突いた。

「1点目は相手ディフェンダーのもたつきがあって、自分的にはそういうところを付けに狙っていました。ラッキーだなという形でした」

 そして自身2点目であり、アンデルソン・ロペス弾に続くチーム3点目は、カウンターから鋭く前を向くと、自信を持って右足を振り抜いて、ミドルレンジから突きしてみせた。

「2点目はナムさん(ナム・テヒ)がフリックでつないでくれて、自分の後ろに相手がいるのを分かったうえで、ターンできると思って、ターン出来たら打とうと思いました。シュートはできすぎでした(笑)」

 もう、あんなシュートは打てないかもしれない。ただ、こうして自分の可能性や領域を広げられた。だから、自信を持っていきたい――。求めていたアジアでのゴール。一気に2ゴール決めた。

 植中にとって、ブレイクスルーを果たした夜となった。

「自分もフォワードなので、飛び出しは狙っています。そこは2列目で生かせると思っていたので、今日は特に狙って行こうと思っていました。また次も狙っていきたいです」

 また試合前日、ハリー・キューウェル監督とともに記者会見に出席するため部屋を出た際、「明日3点取れよ」と言われ、「もちろんです」と答えたという。

「1点足りなかったので反省します」

 そのあと追い付かれ、劣勢をはねのけてPK戦を制してのファイナル進出に。植中は本気で悔しがっていた。

 もちろん、その足りなかった1点は、植中が決勝のアル・アイン戦で決めてくれるはずだ。

 
天野純「PKのマークからゴールまでの距離がマジで遠く感じました」。古巣・蔚山現代から4人目のPK成功。横浜F・マリノスACL決勝進出 | サカノワ

— 「人生で一番勝ちたいぐらいの気持ちでした」「雰囲気が素晴らしくて、ここにいるマリノスに関わる全ての人たちの力で勝ち取った勝利だったと思います」

 
 

フットボールゾーン

ACL初の決勝進出も「僕が何かをやった大会ではない」…横浜FM”今季加入組”が抱く感謝の思い【コラム】 | フットボールゾーン

— 横浜FM、蔚山現代(韓国)とのACL準決勝を制してクラブ史上初のファイナル進出

 横浜F・マリノスはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第2戦で蔚山現代(韓国)に3-2で勝利した。アウェーで1-0と敗れた第1戦との合計スコア3-3となり、延長戦でも決着が付かずPK戦にもつれ込んだ。横浜FMは5人全員が決めた一方で、蔚山の5人目をGKポープ・ウィリアムが止めてACL東地区の頂点に立つとともに、クラブ史上初のファイナル進出を決めた。

 強い雨の中で行われた試合は序盤のゴールラッシュで横浜FMが3-1とリード。しかし前半40分にセンターバックのDF上島拓巳がペナルティーエリア内のハンドを取られてPKを献上、さらに一発退場を命じられた。このPKを決められ合計スコアが振り出しに戻ったうえに10人での戦いを強いられてしまう。そこから蔚山はサイドを起点にクロスボールを入れるなど、怒涛の攻撃を見せた。

 しかし、守護神のポープを中心としたディフェンスが敢然と立ちはだかり、120分間で40本を超えるシュートを打たれながらも、10人になってから結局、1点も与えることなく約80分間を耐え切った。PK戦を含むファイナル進出の立役者であるポープは「自分の中でいろんなことを思い返しながら、あのPKの場面を迎えられたので。そういう悔しい思いだったりとか、辛い時期を乗り越えてきた自分自身のことだったりとか。パワーになりました」と感慨深そうに振り返った。

「GKも4人いて1人しか出られないですし、そういうなかで本当に、どれだけ自分を信じるか。どれだけ日々を過ごしていけるかが大切なので。自分も川崎フロンターレを出てから、本物のレベルを知れて、そこに追いつきたい、追い越したいという気持ちを持って3、4年……5年ぐらいですかね。毎日、地道にやってきたので。それがこういう舞台につながった」

 そう語るポープは東京ヴェルディのアカデミーからFC岐阜、川崎を経て、大分トリニータ、ファジアーノ岡山、そして過去2年はFC町田ゼルビアに在籍。昨シーズンは町田のJ2優勝を支えた1人だったが、ポープは「最後はJ2のベンチだったので。そういう中でも自分を信じて」と、当時の悔しい気持ちを振り返った。

 そうした経験があるからこそ、新天地で熱心にポープを指導している“シゲさん”こと松永成立コーチや“テツさん”こと榎本哲也コーチに対する感謝はもちろん「出てないキーパーを代表して結果を出せたことは嬉しい」という言葉が、ポープの口から出たのだろう。そしてもう1つの思いが彼にはある。現在Jリーグは春秋制で行われているが、ACLは前回大会から秋春制に移行しており、Jリーグのサイクルからすると、ACLは2シーズンを跨いで開催されていることになるのだ。

 つまり昨年は町田でプレーしていたポープのような選手は昨年秋から冬にかけて行われたグループステージを戦っていない。当時、横浜FMのゴールマウスを守っていたのは現在ガンバ大阪で守護神を担うGK一森純だった。その一森も横浜FMで「GKとしてのすべてを成長させてもらった」と語るが、期限付き移籍の満了に伴い、G大阪に復帰する道を選んだ。

「やっぱり僕が何かをやった大会ではなかったので。決勝トーナメントからになりましたけど、いろんな人の思いが積み重なって、ここまで来れていると思います。本当に、そこに対しては感謝してます」

— 守護神ポープと同様、決勝進出へ人一倍感謝の思いを口に…

 そう言葉を結んだポープと同様の思いを持っている男がいる。2022年から韓国の蔚山と全北現代でプレーし、3年ぶりに復帰した天野純だ。今回は古巣である蔚山との因縁深い試合となり、アウェーの第1戦はもちろん、横浜FMのホームだった第2戦でも蔚山のサポーターから容赦ないブーイングが飛んだ。天野は「逆に愛されてる証拠だな」と笑顔で振り返った。

 延長前半15分からの登場となった天野は1人少ない状況で、チームの疲労感も強まっているなかで「しっかり守備から入ることだったり、エナジーを注入するところ。あと個人的には自分が持ったところでチャンスが作れると思っていた」と語るように、精力的にボールを追うだけでなく、カウンターの起点になることで、相手の波状攻撃を防ぐ役割を果たした。そしてPK戦では4人目のキッカーをきっちりと務め、直後に蔚山の5人目キム・ミヌのキックをGKポープがストップする流れに導いた。

「本当に一筋縄では行かない大会だなというのを痛感しましたし、あれだけの展開を前半の最初に作って、前後半で全く真逆、全く別物のチームになってしまった。この大会がそうさせてる部分もあると思うし、決勝はさらに難しくなると思う」

 そう語る天野だが、横浜FMに復帰する前に2年前のリーグ優勝でACLの権利を獲得したり、グループステージ突破に貢献した選手たちに向けて「去年からいてくれた選手がここまでつないでくれたと思うし、逆に僕は去年いなかった。移籍して去った選手の思いというのもしっかりと受け継ぎながら、責任持ってやらないといけないと思うし、今日はエモーショナルな試合でした」と感謝の気持ちを示した。

 昨年クラブに在籍した選手をはじめ、横浜FMに関わってきた“マリノス・ファミリー”すべての人たちの思い、そして同じ大会で頂点を目指しながら、志半ばで敗れた浦和レッズ、ヴァンフォーレ甲府、川崎フロンターレの思い、さらにACL出場による日程延期に協力してくれたG大阪や柏レイソルなど、さまざま思いを乗せて、トリコロールはアジア王者を懸けた最後の戦いに挑んでいく。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

 
 

Football Tribe Japan

この横浜に優るあらめや。F・マリノス、30分だけ完遂の攻撃サッカーでACL決勝へ | Football Tribe Japan

4月24日に行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)2023/24の準決勝第2戦。横浜F・マリノスは本拠地(横浜国際総合競技場)に蔚山現代(韓国)を迎えた。3-2とホームチームが1点リードで後半終了のホイッスルが鳴り響いたものの、第1戦との合計スコアが3-3となったため、15分ハーフの延長戦へと突入。ここでも両チーム無得点に終わり、準決勝の決着はPK戦に委ねられた。

PK戦では後攻の横浜FM4人目キッカー、MF天野純まで両チームとも全員成功。キックを成功させた天野の咆哮により、横浜サポーターのボルテージも最高潮に達した。

大声援を受けたGKポープ・ウィリアムが、蔚山(先攻)の5人目キッカーMFキム・ミヌのシュートをストップ。横浜FMの5人目、DFエドゥアルドのシュートがゴールネットに突き刺さった瞬間、激闘に終止符が打たれている(PK戦スコア:5-4)。

第1戦を0-1で落としながら、横浜FMはいかに勝機を見出し、クラブ史上初のACL決勝進出を果たしたのか。ここでは準決勝第2戦を振り返るとともに、この点について検証・論評する。現地取材で得たハリー・キューウェル監督(横浜FM)の試合後コメントも、併せて紹介したい。

— 蔚山のパス回しを封殺

お馴染みの基本布陣[4-1-2-3]でこの試合に臨んだ横浜FMは、キックオフ直後からFWアンデルソン・ロペスを起点とするハイプレスで試合を掌握する。同選手が蔚山(基本布陣[4-4-2])の2センターバック間のパスコースを塞ぎながらプレスをかけ、アウェイチームのパス回しを片方のサイドへ追い込むと、これに横浜FMのウイングFWやサイドバックも呼応。チーム全体としての連動性が感じられる守備で、蔚山のGKや最終ラインからのパス回し(ビルドアップ)を封じた。

試合序盤は蔚山の攻撃配置に工夫が見られず、2ボランチの一角が2センターバック間に降りることも、サイドバックが内側へ絞って外と中央両方のパスコースを確保することもなし。ビルドアップ時にサイドバックが自陣後方タッチライン際に立ったため、そこへパスを送っては横浜FMによるハイプレスに晒されていた。

横浜FMがハイプレスを仕掛けることは予想可能だったはずで、蔚山を率いるホン・ミョンボ監督の自軍のビルドアップ配置に関する準備が不足していた感が否めない。蔚山陣営が放ったハイプレス回避のためのロングパスも、前半途中までは横浜FMが回収している。キックオフ直後から前半30分くらいまでの約30分間で蔚山は窮地に陥り、逆に横浜FMにとっては持ち前のアタッキングフットボール(攻撃的サッカー)を披露できる時間帯となった。

— 前半30分までに3得点

第1戦を1-0で物にした蔚山が[4-4-2]の布陣での撤退守備を選んだため、横浜FMの2センターバック(畠中槙之輔と上島拓巳の両DF)にプレスはかからず。ゆえにホームチームは2センターバックを起点に悠々と攻撃を組み立てた。

迎えた前半13分、横浜FMの右ウイングFWヤン・マテウスから小気味良いパスワークが始まり、ボールが蔚山の最終ライン背後にこぼれる。蔚山陣営がこのボールの処理にもたついている隙をホームチームFW植中朝日が突き、先制ゴールを挙げた。

遅攻のみならず、快足の左ウイングFWエウベルへシンプルにロングパスを送るなど、横浜FMは多彩な攻めを披露。前半21分にはエウベルにボールを預ける速攻が一度不発に終わるも、すかさず2次攻撃へ移る。エウベルやマテウスがパスワークに絡み、ロペスがペナルティアーク付近から左足でシュートを放つと、これがゴール右隅に突き刺さった。

2戦合計スコア2-1で形勢逆転のこのゴール直後、横浜市歌をモチーフとしたホームチームのチャント『この横浜に優るあらめや』(※)がスタジアムに響き渡り、横浜FMがさらに勢いづく。迎えた前半29分、ロペスが相手DFファン・ソッコ(センターバック)に寄せて苦し紛れの縦パスを蹴らせ、これをDF畠中がカット。ここから横浜FMの速攻が始まると、植中がペナルティアーク後方からミドルシュートを放ち、リードを広げるゴールを挙げた(得点は前半30分)。

— 「良いプレスが大事」

キューウェル監督は試合後の会見で、筆者の質問に回答。チーム全体としての連動した守備が、前半の3ゴールに繋がったことを強調している。

ー前半、アンデルソン・ロペス選手を起点に相手のパスワークを片方のサイドへ追いやることができていたと思います。この点について監督の評価をお伺いしたいです。また、第1戦と比べてチーム全体のハイプレスの強度や連動性が高かったからこそ、今回の3ゴールに繋がったと私は感じています。いかがでしょうか。

「アウェイでの第1戦でもプレスは良かったと思っています。やはり良いプレスを続けることが大事ですし、プレスはロペス個人でできるものではなく、一人ひとりに役割があるなかで、チーム一丸となってやっていくものです。今日の試合のなかでも、そうした部分(チーム全体としての連動した守備)をしっかり出せていたと思います」

— ホン・ミョンボ監督の采配に対応できず

2戦合計スコア1-3と劣勢に陥った蔚山のホン・ミョンボ監督は、前半34分にMFダリヤン・ボヤニッチを投入し、基本布陣を[4-4-2]から[4-1-2-3]へ変更。このフォーメーションチェンジに対応できず、ハイプレスを緩めてしまった横浜FMは蔚山の自陣後方からの配球を許し、前半35分にサイド攻撃を浴びる。この1分後に行われた蔚山MFイ・ドンギョンのコーナーキックをMFマテウス・サレスに物にされ、ホームチームは2戦合計スコアで1点差に詰め寄られた。

前半39分には敵陣でのボールロストからボヤニッチにボールを運ばれ、攻め上がっていたDF永戸勝也(左サイドバック)の背後へパスを通されてしまう。横浜FMのセンターバック上島が自陣ペナルティエリアでスライディングを仕掛け、蔚山FWオム・ウォンサンのドリブルを止めようとしたものの、ボールが無情にも上島の腕に当たる。上島による決定的な得点機会の阻止で蔚山にPKが与えられたうえ、同選手にはレッドカードが提示された。

ボヤニッチのPKは成功。横浜FMは2戦合計スコアを3-3の同点にされたうえ、3月13日のACL準々決勝第2戦(山東泰山戦)と同じく10人での戦いを余儀なくされた。

— 横浜FMが瀬戸際で発揮した柔軟性

10人という難局を乗り越えるべく、キューウェル監督は後半開始前にDFエドゥアルドとMF山根陸を投入。布陣を[4-3-2]に組み直したが、最前線から中盤に降りてくるFWチョ・ミンギュや、逆に中盤から最前線へ飛び出すMFイ・ドンギョンを捕まえきれない。豊富な運動量で広範囲をカバーでき、先述の山東泰山戦でも守備面で気を吐いた喜田拓也と渡辺皓太の両MFを欠いたことで、最終ラインと中盤の間にボールや人を通され続けた。

3セントラルMFの外側もボヤニッチに使われ始め、[4-3-2]の横浜FMの守備ブロックは崩壊寸前だったが、キューウェル監督がMF水沼宏太とDF加藤蓮を投入し、彼らに3セントラルMFの左右を担当させたことで守備の出足や強度を維持。後半終了間際に[4-4-1]、延長戦では5バックを敷くなど、ピッチ上の選手たちの助けとなる手は全て打てていた。キューウェル監督の当意即妙な布陣変更、それに応えた選手たちの柔軟性が物を言った一戦だった。

横浜FMらしいアタッキングフットボールを披露できた時間は短く、むしろ受難の時間帯が長かったが、見方を変えればハイプレスを基調とする攻撃的サッカーを完遂した前半の30分間で3ゴールを奪えたことが、今回の決勝進出に繋がったとも言える。まさにアタッキングフットボールの勝利。「この横浜に優るあらめや」と誇りたくなるようなビッグマッチだった。

 
 

REAL SPORTS

なぜ横浜F・マリノスは「10人でも強い」のか? ACL決勝進出を手繰り寄せた、豊富な経験値と一体感 – REAL SPORTS(リアルスポーツ)| スポーツの「リアル」を伝える

準決勝で韓国の蔚山現代を撃破し、見事AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝進出を決めた横浜F・マリノス。4月24日に行われた準決勝の第2戦は、雨が降りしきる中、PK戦までもつれ込む激闘となった。40分に退場者を出して数的不利となり、42本のシュートを浴びながらも、10人でも破綻を起こさない粘り強い戦いと、PKストップも含めたポープ・ウィリアムの好守もあり、見事勝利を収めた。この試合をスタンドから見守ったキャプテンの喜田拓也と小池龍太の言葉とともに激戦を振り返り、マリノスがACL決勝進出を成し得た勝負強さの理由に迫る。

— スタジアムにこだました大歓声「これは絶対プレッシャーになる」

横浜F・マリノスのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝進出を信じるファン・サポーターは最後の最後までトリコロールの戦士たちに大声援を送り続けた。

「ポープ(ウィリアム)が守る時にこっちから僕が見ていたゴール裏の雰囲気が鳥肌立つくらいめちゃくちゃよかったので、『これは絶対にプレッシャーになるな』と思ったので、とにかくみんなに『頼む! 一緒に戦ってくれ!』と感じてもらえるようにやりました」

PK戦でマリノスの2番手を託された水沼宏太は、無事にPKを成功させるとファン・サポーターが陣取るゴール裏に向かって渾身のガッツポーズ。声援の音量は一気に上がり、日産スタジアムに大歓声がこだました。

第1戦を0-1で落として迎えたホームでのACL準決勝第2戦はドラマチックな展開となった。マリノスは30分までに3点を奪って2戦合計スコアで逆転するも、直後に1点を返され、40分には上島拓巳が一発退場に。それでも10人で延長後半まで蔚山現代の猛攻を凌ぎ切り、PK戦に持ち込んだ。

苦しくても踏ん張れたのは、ファン・サポーターが生み出したエネルギーのおかげと言っても過言ではないだろう。日産スタジアムに集まった観客は1万6098人だったが、マリノスのファン・サポーターの声援は4万人級……いや、6万人を超えているのではないかと錯覚するほどの圧倒的な熱を帯びていた。

PK戦ではアンデルソン・ロペス、水沼、松原健、天野純と4人目まで順調にゴールネットを撃ち抜いていく。その後、ポープ・ウィリアムが蔚山現代の5人目だったキム・ミヌのPKを止め、後攻のマリノスは5人目のエドゥアルドも見事に成功。クラブ史上初のACL決勝進出が決まった瞬間、選手たちは一目散にゴール裏のファン・サポーターの元へと駆けていった。

— 数的不利を感じさせない、急造でも破綻を起こさない意思統一

10人になったマリノスは強い。

これはもはや定説となりつつある。仲間たちの戦いぶりをスタンドから見守ったキャプテンの喜田拓也は「いいんだか悪いんだかわからないですけど」と苦笑しつつ、「経験値というか、チームの声かけも『こういうのを乗り越えてきたから!』という感じで、自信が備わっているなというのはあった」と明かす。

そもそもACL決勝トーナメントの全ラウンドで退場者を出しながら、決勝進出を果たしたクラブは過去にあるのだろうか。今大会のマリノスはバンコク・ユナイテッドと対戦したラウンド16第1戦の終盤に松原健が一発退場、山東泰山との準々決勝第2戦では後半開始直後に永戸勝也が累積警告で退場となり、今回の準決勝第2戦でも上島が退場処分を受けている。だが、どの試合も負けてはいない。

ゆえにピッチ上の選手たちもスタンドから見守るメンバー外の選手たちも、そしてハリー・キューウェル監督らスタッフも、センターバックの一発退場にまったく動じることはなかった。喜田はハーフタイムにロッカールームまで降りて後半以降の戦い方について自分の意見をチームメイトや監督たちに伝え、ピッチ上の考えと擦り合わせたというが、そこで齟齬(そご)が起きることもなかった。

マリノスは10人になった次のプレーからシステムを4-3-2に変える。右サイドバックだった松原健をセンターバックにスライドさせ、アンカーの榊原彗悟を右サイドバックに配置。選手交代で新たなセンターバックを入れることなく、前半を乗り切った。

すでにリーグ戦で4-3-2の戦いを経験しているとはいえ、一瞬で配置転換とプラン変更、それぞれの役割を共有し、急造でもまったく破綻を起こさないレベルまで意思統一を図ることができるのは驚異的と言っていい。1人減っても、残った一人ひとりが2人分走り、戦うことでカバーする。近年のマリノスは10人になっても数的不利を感じさせないパフォーマンスを見せる。

とはいえ、蔚山現代戦ではどうしても相手のサイドバックがフリーになってしまったため、中盤3枚の左右スライドが追いつかなくなり始めたら、交代で新たな選手を投入した。その選手たちも本来のポジションではない役割を忠実にこなし、全体の足が止まり始めたら4-4-1にシフト。これも非常にスムーズで、蔚山現代はマリノスのシステム変更にしばらく気づかないままプレーしているように見えた。

延長戦もじっくり耐えて、PK戦突入が見えてきた最終盤には山根陸をディフェンスラインに落として5-3-1に。マリノスは蔚山現代から40本以上のシュートを浴びながら、上島の退場時に与えたPKを決められたのを最後に1点も奪われていない。120分間だけで言えば、そのうち80分以上が10人対11人の数的不利だったにもかかわらず3-2で勝っていたのである。

— これまでの教訓がすごく生きたゲーム

「非常にタフな戦いにはなりましたけど、これまでの教訓もすごく生きたゲームだったのかなと。10人になるのももちろんそうですし、ああいうタフな相手に対して『ただの負け』にしないことで、今までの痛みは無駄じゃなかったなというのを感じられた一戦になった。これまでの苦しみというのは、ひたむきにやり続ければ身になるなと感じました」(喜田)

まるでピッチにいたかのように語る喜田は、先に述べたようにメンバー外だった。でも「何ならピッチにいる時より一喜一憂します。上(スタンド)でめっちゃ叫んでいますよ」と笑う。

10人でも勇敢に戦えるのは、ピッチに立っていようとメンバーから外れていようと、全員が同じ気持ちを共有して戦えているという自信があるからだ。チームの誰からも信頼されるキャプテンは「みんなチャンスになったら立ち上がるし、ピンチを防げばみんなで称え合って。そういう素晴らしい雰囲気がある」と胸を張る。

喜田と同じくメンバー外となりスタンドから試合を見ていた小池龍太も「難しい状況というのは10人であっても11人であっても変わらなくて、相手のほうがプレッシャーはあったんじゃないかと感じていて。その中で自分たちがやるべきことをやった結果、ああいう勝利につながったと思います。拓巳が退場してからも彼を一切見捨てることなく、支える人、支えられる人というクラブの一体感が出たんじゃないかと思います」と、マリノスの団結の強さを誇った。

— ACL決勝進出を支えた「一体感」

退場者を出しながらもACL決勝進出を果たせた要因は、「10人でも強い」だけではない。1シーズンかけて一つひとつ勝ちを積み重ねていかなければならない長丁場の大会を勝ち抜けている要因は、彼らが培ってきた一体感にもある。

特に今大会は多くの選手たちが経験してきたこれまでのACLとは違った。マリノスが出場した過去2度のACLはコロナ禍の影響を受けた特殊なレギュレーションだった。前年のJリーグ王者として挑んだ2020年大会はグループステージ初戦のみホームで開催できたが、直後に新型コロナウイルスのパンデミックが始まり、残りの試合はシーズン終了後にカタールで行われることに。クラブ史上初の決勝トーナメント進出を果たすも、最終成績はラウンド16敗退だった。

2022年大会もコロナ禍を抜け出せておらず、グループステージはベトナムでの集中開催に(1会場だったのになぜか同じ相手と2度対戦し、中2日の6連戦と過酷な日程だった)。東地区の決勝トーナメントは日本開催だったが、ホーム&アウェイではなくワンマッチとなり、マリノスはラウンド16でヴィッセル神戸に敗れた。

こうした“変なACL”ばかりだったので、逆にグループステージからホーム&アウェイの試合が続く通常のレギュレーションでの経験値が少ない。リーグ戦をこなしながら、並行してACLも戦う厳しさを乗り越えられるかでチームの総合力が問われていた。

しかも、今大会から秋春制になったことでシーズンをまたぐ。マリノスに関しては監督交代や選手の入れ替わりもあった中で、初めて決勝まで辿り着いたのである。この偉業を成し遂げるには、やはり一体感が欠かせなかった。

— 「ピッチで戦っている選手がすべてじゃない」

柏レイソル時代の2018年に通常レギュレーションのACLに出場した経験を持つ小池は、昨年3月から約1年にわたって右ひざの大ケガで離脱を強いられていた。そのリハビリ中もチームの一体感醸成のために手を尽くした。

2017年にJ1で4位だった柏はACLとリーグ戦の両立に失敗し、2018年は前者でグループステージ敗退、後者でJ2降格という苦渋を味わった。2度の監督交代がチームの混迷を物語っていたと言えよう。その経験があったからこそ、小池は動いた。

「柏の時にACLとJリーグを戦って、シーズンがなかなかうまくいかなかったのを経験していて、その時の雰囲気や流れは今でも覚えています。その状況をなるべく作らないように、いろいろな選手に声をかけて、ピッチで戦っている選手がすべてじゃないというのは常々意識していて。それがみんなで取り組めている一つの要因になればいいかなと思っています」(小池)

新たにマリノスに加入した選手たちにチーム内の哲学や基準をどのように植えつけ、輪に取り込んでいくか。喜田も「そこが一番パワーを使ってきたところ」と明かす。どんな立場であろうと、一人ひとりがやるべきことを徹底してやり続けたからこそ、東アジアNo.1まで到達できたのだ。

「人が入れ替わったことで大切にしてきたものが薄れてしまっては何も意味はないし、何より自分はこのチームを本物にしたくて、ずっと長い時間をかけて地道に地道に、いろいろなところにタネを撒いてやってきたつもりでいます。別にそれをわかってほしいとは思わないですけど、(ACL決勝進出は)みんながそれぞれの立場や状況で頑張ってきた証だし、さまざまな条件、環境、状況がある中でも乗り越え続けているチームのタフさというのは、口で言うのは簡単ですけど、言葉よりも難しいものなので。

 その継続やパワーアップしていくこと、勝ち続けるというのは、いろいろなことが変わっていくチーム、この世界では本当に難しいことで、マリノスだからできている部分も大いにある。それをこれからも続ける、またはよりパワーアップしていくことは、勝ち続けていくにおいて大事になってくると思います」(喜田)

— 喜田を中心に作り上げた「チーム力を引き上げる特別なもの」

ACLの難しさを熟知する小池は、1年をかけて決勝に進めたことでチーム力の高まり、組織としての成長を実感している。「言ってしまえば集中開催の時はACLに集中できたという利点があったし、全員で(遠征に)行くことができて一体感も生まれていたというのはあります。JリーグとACLを共に戦い、(遠征に)行く人と行かない人が出てくる。その中でも一体感を自分たちの中で作りながらチームで底上げをしていく、自分のポジションを勝ち取っていくという流れが今は本当にいい相乗効果になっていて、自分たちにとって理想の流れになっているんじゃないか」と指摘する背番号13は、こう続ける。

「それはこのクラブの魅力で、キー坊(喜田)が作り上げたと言っても過言ではない。全員がつないで、試合に出ている11人がそれを感じて、出ていない支える人たちがそれを見守るというのは、すごく特別な瞬間で、決勝も意味のある90分間、さらに180分間プラスアルファになるんじゃないかと思っています」(小池)

喜田を中心に作り上げてきた極上の一体感は、チーム力を何倍にも引き上げる特別なもの。約2週間後のACL決勝に向けて、それはさらに磨かれ、より大きなマリノスの原動力になってくれるはずだ。

小池は「自分たちは『優勝するためのチーム』だと思っている」と自信に満ちている。まだ誰が決勝のピッチに立てるかわからず、競争もある。それでも「どんな状況でも試合に出られるメンバーは決まっていて、その11人に勝つための自信を持ってもらうために、出られないメンバーが支えるべき」とも。ピッチに立つのは11人だけではない。準決勝第2戦でメンバー外となりスタンド観戦していた選手たちも全員が一体となって戦ったように、決勝も選手、スタッフ、そしてファン・サポーターが一丸となってUAEの強豪アル・アインに立ち向かっていく。

— たくさんの人々の思いがつながったACL制覇に向けた航海

思い返してみれば、今回のACLは本当にいろいろなことがあった。そもそもホームで行われたグループステージ初戦で仁川ユナイテッドに敗れたところからすべてが始まっている。グループステージ第3戦でゴールを挙げた杉本健勇やスーパーセーブ連発で何度もチームを救った一森純など、昨年まで在籍していた選手たちの貢献も忘れてはならない。ケヴィン・マスカット前監督が残してくれた決勝トーナメントへの挑戦権があったから、マリノスは決勝の舞台に立てる。たくさんの人々の思いがつながっているからこそ、なんとしてもアジアの頂点に立ちたい。

「昨年でこのチームを去ってしまった選手も関わってくれた長丁場の大会。異国の地に行って、タフな日程や環境も、すべてを乗り越えてファイナルへの切符をつかむことができました。全員が関わっているということに誇りを持ってやってきたからこそ、歴史を変え続ける戦いは本当に最高だなと。

 ただ、まだその先の景色があると思うと何も満足できることはない。このクラブにどれだけの人が関わって、どれだけその景色を望んでいるかは、僕自身は長い年月をかけて見てきたので、その思いは理解しているつもりですし、みんなで人生を懸けてタイトルを奪いたいと思っています」(喜田)

キャプテンは迷いなく王座への航路へ舵を切った。決戦まで2週間。誰一人取り残さず、帆を上げて果敢に突き進むのみだ。獲るぞ。アジアの頂点を。トリコロールの勇者たちよ、みんなで一緒に最高の場所へ。

 
 

スポーツソウル日本版

横浜FM水沼宏太、鳥栖時代同僚キム・ミヌのPK失敗に心情吐露「自分の中で苦しいものがある」|スポーツソウル日本版

横浜F・マリノスのFW水沼宏太(34)が、元同僚のPK失敗に複雑な心情を明かした。

4月24日、横浜国際総合競技場(日産スタジアム)で行われた横浜FM対蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)とのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第2戦は2-3(2戦合計スコア3-3)とし、横浜FMがPK戦5-4で決勝進出を決めた。

PK戦までもつれる死闘となった今回の一戦では、かつてサガン鳥栖でチームメイトだった“同い年コンビ”がピッチで対峙した。

横浜FMの水沼、そして蔚山のMFキム・ミヌ(34)だ。

ともに1990年生まれで誕生日も3日違い(水沼が2月22日、ミヌが2月25日)という2人は、2012~2015年の4年間で同じユニホームに袖を通した。

2014年5月10日に日産で行われたJ1リーグ第13節の横浜FM戦では、水沼のミドルシュートのこぼれ球をキム・ミヌが押し込んで先制するなど、2人の活躍でチームを勝利(2-1)に導いたこともある。

— 水沼、キム・ミヌは「めちゃくちゃ大好きな奴」

昨季まで中国の成都蓉城でプレーしたキム・ミヌが蔚山に加入し、ともに準決勝まで勝ち進んだことで実現した今回の対決。

蔚山ホームの第1戦では水沼が後半44分から途中出場も、キム・ミヌは投入されず。再び両者ベンチスタートとなった横浜での第2戦、水沼が後半36分、キム・ミヌが同37分と偶然にも“1分違い”のタイミングで、ともに同じピッチに立った。

「この前の試合(第1戦)で僕は5分ぐらいだけ出場して、でもミヌが出られなくて。“次は絶対一緒にピッチに立とう”というなかで(今回は)僕が先に出て、ミヌが後から出てきて一緒に(ピッチに)立てたんですけど…」

試合は数的優位の蔚山が猛攻を仕掛ける展開のなか、キャプテンマークを巻いたキム・ミヌが後半終盤にゴール前でポスト直撃のシュートを打ったと思えば、水沼も延長前半12分に決定機。

キム・ミヌは延長後半10分、コーナーキックの混戦からこぼれ球を押し込むもオフサイドで得点取り消しとなったが、同13分にはわずかに枠を外れるシュートを放つなど、ともに相手の脅威となるプレーを見せ続けていた。

そして最後のPK戦、水沼も2人目で成功させるなど両チーム4人目まで失敗なく続いたなか、蔚山5人目でキム・ミヌが登場。長めの助走から振り抜いた左足のシュートは、横浜FM守護神ポープ・ウィリアム(29)に防がれ、無情にも枠を外れた。

結局、5人目のDFエドゥアルド(30)も成功した横浜FMがACLファイナルの切符を獲得した。ただ、場内が大歓声に包まれるなかキム・ミヌは顔を上げられず、蔚山の同僚に慰められていた。

「PKをあいつが外したっていうのは、自分の中ですごく苦しいものがあります」

劇的な幕切れとなった一戦を終え、率直な心情を吐露した水沼。そのうえで「でも…」と言葉を続けた。

「2020年ACLのベスト16で対戦したときにあいつ(ミヌ)が水原三星にいて、僕はマリノスにいて。(結果は)僕は試合出られなくて負けて、ミヌが決めて(水原三星が)勝ったので、そのリベンジは果たせたかなと思います」

「でも、めちゃくちゃ大好きな奴なだけに、(PKを)外したのはすごい…僕のなかでは“あっ”て思うところはあります」

そんな元同僚との激闘を経て、アジア王者を決める最後の舞台に進んだ水沼。最後、感慨深い表情でこう話していた。

「勝負の世界を超えて、またしびれる試合を昔の仲間と一緒に戦えたっていうのはとても刺激になりますし、また戦うことができたら良いなと思います」

(取材・文=姜 亨起/ピッチコミュニケーションズ)

 
 

こけまりログ

2024/04/23 【スタジアム観戦情報まとめ】2024/4/24(水)19:00KO AFCチャンピオンズリーグ2023/24 準決勝 第2戦 横浜F・マリノスvs.蔚山現代(ウルサン ヒョンデ)@横浜国際総合競技場
 
 

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